新型コロナウィルス感染防止に対する ご理解・ご協力のお願い

遠谷眼科では、2020年の春から続く、新型コロナウィルスに対する感染防止対策として、マスクをして、どうしても必要なこと以外は「院内で会話しない」「院内で声をださない」ということを、すべての患者さんにお願いしています。それはこのウィルスが、まだどんなウィルスなのかがよくわかっていないからです。もしかすると、今までのインフルエンザと同じようなウィルスかもしれないけれど、今はまだ、治療薬や治療方法の詳しいことがわかりません。そこで、大げさだと思われても万一に備えて、最高レベルの感染防止対策をするのが、医療機関では適切だと考えています。

初めて来院された患者さんや、久しぶりに来院された患者さんの中には、院内で医師やスタッフと自由に会話ができないということに驚かれ、強く不満をもたれる方もいらっしゃいます。また、当院の医療従事者の感染防御服などについて、院内にいるすべての人を感染から守る目的で着用しているとはお考えにならず、医療従事者が自分達を感染から守るためだけに着用していると誤解される患者さんもいらっしゃいます。スタッフが耳にかけている院内通信機器の耳かけ型イヤホンを、頭にかぶっている不織布のキャップの上からご覧になったためか、仕事中に大きなイヤリングをしているスタッフがいる、医療従事者の心構えとしてはいかがなものか、と誤解された患者さんもいらっしゃいました。普通のときなら、このような誤解を受けることはなかっただろうと思います。

新型コロナウィルスが発生する前は、患者さんと医療従事者との間の、対面での直接的なコミュニケーション(対話)がとても大事にされていた世の中でした。そのため、現在の「院内で会話をしない」「院内で声を出さない」という状況は、新型コロナウィルス発生前の診療に慣れていらっしゃった患者さんに、「病気で来ているのに、病気の話ができないでどうする」「けしからんことだ」「上から目線だ」と思われてしまっても、決してわからないことではありません。でも今は、医療をとりまく状況が全く変わっています。特に当院の患者さんは、高齢の方が多いので、万一新型コロナウィルスに感染して手当が遅れると、重症化が避けられず、生命の危機に瀕してしまいます。

今年の春に手術を予定していた患者さんの中には、「自分は高齢なので、万一新型コロナウィルスに感染すると命が危なくなるかもしれない、通院の電車の中、待合室や手術室の中でも感染しないかがとても不安なので、予定されている白内障手術を延期したい」とおっしゃる方が何人もいらっしゃいました。そのお気持ちは本当によくわかりました。当院でも眼科学会からの提言に従い、政府の緊急事態宣言が発令された後4月下旬、5月、6月の間は、予定されていた手術をすべて延期し、検査と診察だけを外来診療で継続していました。でも、病気が進みすぎて手遅れ状態になると、失明に至ることがあるので、手術の延期にも限度があり、7月 から手術を再開しました。手術を延期していた2か月の間には、新型コロナウィルスを取り除き、不活化するために開発された最新の設備をいくつも手術室や診察室などに配備しました。どうしたら院内での感染を起こさないで医療を無事に継続していくことができるかということを、数々のデータにもとづいて毎日ずっと考えてきた結果、患者さん、医師、スタッフの、みんなの命を守るためには、「マスクをして院内での会話を可能な限りしないことに尽きる」と考え、現在に至ります。

新型コロナウィルスは、発生から1年近くになりますが、収束するどころか、まだまだ予断を許さない状況です。医療現場が今おかれている状況を、患者さんにどう説明したらよくわかっていただけるのかわかりませんが、とにかくできるだけ誤解をしないでいただきたいという思いから、当院の新型コロナウィルス感染防止対策と診療方法について、以下のとおりご説明することにしました。

この新型コロナウィルスのために、地域の医療崩壊が起こらないようにするということは、とても大事なことです。どんなに大きな病院でも、何十人もの患者さんが、毎日入院することになってしまうと、数日間で病院がパンクしてしまい、そのあと病気になった人は、手当を受けられないままになってしまいます。

みなさんの命にかかわることですから、決して大げさなことだと思わずに、最後まで読んでいただければ幸いです。

また、遠谷眼科では、院内の窓をあちこち換気のためにずっと開けっ放しにしています。

ずっと座っていると寒くなるかもしれませんので、寒くならないような服装で、どうぞご来院ください。

(院内でも、ここから下に記載している文章と同じものを掲示しています。)


新型コロナウィルス感染防止に対する ご理解・ご協力のお願い

一定の場所にいるときは、

マスクをつけ、会話せず黙って、短時間の滞在にする、ということが、新型コロナウィルス感染防止のための一番よい方だということがわかっています。

患者さんの、医師やスタッフと話したいというお気持ちはよくわかっているのですが、口を開かないということが患者さん、医師、スタッフのすべての人々にとって、新型コロナウィルスに感染しないための、最も効果がある感染防止対策です。そのため、院内ではどうしても必要なこと以外、会話はしないでください。

最近のデータによりますと、2020年の6月から8月に新型コロナウィルスに感染した人のうち、
70歳代以上では、100人のうち
13人が重症化して、11
人が命を落としている
とのことです。若くても、退院後は、長く続く後遺症に苦しんでいる人もたくさんいます。

感染リスクを下げるために、院内での会話を制限することは不親切に思えるかもしれませんが、患者さんの命を守ることを最優先するという考えに基づくものです。

命あってこその、眼の治療です。何かご質問やご用事がありましたら、スタッフに手を振るか、手をたたいてお知らせください。筆談のための筆記用具をお持ちするか、スタッフがお話しをうかがって、メモをとります。

診察室の中は、距離が保てない「密」な空間です。

医師、診療介助スタッフ2人、患者さん、付き添いの方の4人から5人が、小さな部屋に同時に入っている状態がずっと続いているので、換気や空気中のウィルス除去対策はかなりしていますが、次の患者さんが診察室に入られた直後は、前の患者さんの時の室内の空気が、全部入れ替わっていないかもしれません。

防御していなければ、眼科でも新型コロナウィルスの感染は起こります。

20191230日、中国の武漢で新型ウィルスのことを最初に警告した医師は眼科医で、緑内障の患者さんの診察中に感染して、ひと月後に亡くなりました。眼の結膜から新型コロナウィルスに感染することがわかっていますので、医師もスタッフも、すごい防御服をきているように見えるかもしれないのですが、これは世界の眼科学会の指導による、新型コロナウィルス感染拡大防止のための標準的な感染防御の服装です。①自分がうつらないため②自分がうつさないための2つの目的をもっています。

新型コロナウィルスの感染力は、症状がでる2日前から当日にかけて最も強くなります。

ですから、自分は健康だと思っている人が実は感染していて、知らずにどんどん他の人を感染させてしまいます

新型コロナウィルスに感染した人のうち、

発症する前の感染者から感染してしまった人が、2人にひとりぐらいいることがわかっています。

世間で行われている体温測定では、本当に警戒しないといけない、発症する前の感染者を見つけることができません。

そうすると、いったんおうちの外に出たら、いつでも、どこでも、自分が感染していることを知らない人々とすれ違ったり、そのような人々が自分の隣に座っていたりする可能性十分あると考えないといけないでしょう。

このことは、遠谷眼科の建物の中でも同じことです。

遠谷眼科の医師やスタッフにも、家族と同居している者がいます。家族が学校や職場からウィルスを家に持って帰ってくる可能性もゼロではないので、万一自分も知らない間に感染してしまったら、ということをいつも考えています。

医師やスタッフが二重のマスクやフェイスシールドをして、防御服装で仕事をしていれば、患者さんと一時的に近づいたとしても、自分達の息が患者さんのお顔に直接かかることはないので、患者さんが自分達から新型コロナウィルスに感染することはないと考えています。マスクの布の層は、息が吸えなくなってしまうといけませんが、重ねれば重ねるほど、ウィルスを通しにくくなることがわかっています。

医師は診察や治療の時に、患者さんの顔から10cmぐらいのところまでの近い距離に、数分から10分ぐらいずっと顔を近づけなければならないので、N95マスクというウィルスを通しにくい医療用の特殊マスクの上に、通常の医療用サージカルマスクを重ねています。

患者さんと会話したり、歩行の介助をしたりすることが多いスタッフは医療用サージカルマスクを二重にし、状況により顔をおおうプラスチックのシールドもつけて、自分の息が患者さんのお顔に及ばないようにしています。さらに、通勤の時にどこかでウィルスをあびたかもしれない髪が、患者さんや検査機器、カルテにかからないように、不織布のキャップを耳から髪全体をおおうようにしてつけています。

マスクを重ねづけし、防護服装で仕事をしますと、そう簡単にお手洗いに行くこともできず、熱気のためとても体力を消耗しますが、新型コロナウィルスの感染は起こさない、眼の病気よりも、まず、すべての人の命を守る方が大事だ、と考えて、みな仕事をしています。

新型コロナウィルスの治療薬として、確実に効果がある薬がまだわかっていないので、かからないようにするのが一番よいことです。

高齢で、重症化リスクの高い糖尿病や高血圧や心臓の病気などをもつ患者さんが多い遠谷眼科としては、2020416日に緊急事態宣言が発令されたとき、すべての人の命を最優先するため、院内の空気中のあらゆるウィルス量を最小にとどめるよう、患者さんと医師・スタッフとの直接の会話はできる限りしない、口を開かないで筆談や身振りで対応する、と決めました。

今年の初めから現在に至るまで、日本中の医療従事者は、新型コロナウィウルスという未知のウィルスと、医療資源が十分に供給されず人的資源にも不足するなか、医療崩壊寸前のところで何とか踏ん張って、必死に戦ってきています。

遠谷眼科では、多くの人が出入りする診察室には、紫外線空気清浄機器やその他の除菌剤噴霧機器を設置し緊急事態宣言により手術を延期していた20205月から6月の2か月間には、手術室の改造工事をし、手術室内の新型コロナウィルスを取り除いて不活化するように、最新型の特殊なHEPAフィルターや空気清浄機器を入れて患者さんが手術室内の空気を心配することなく、また医師もスタッフも長時間安心して手術ができるような環境を整えました。自動車が何台も買える費用を、新型コロナウィルス対策のためだけに使っています。

スタッフは、自分が新型コロナウィルスに感染することを避けるため、人が集まるところはもちろん、美容院にはいかないで、伸びた髪は自分がハサミで切るか、家族に切ってもらっています。髪の毛についたウィルスがもとで、新型コロナウィルスに感染することがあるといわれているので、目や口にかかるような長さの髪には注意をしないといけません。

あるスタッフは、今年の3月に、自分の髪が目や口に絶対にかからないようにするため、髪を自分で切りました。長い髪を手でつかんで、ジョキジョキとハサミで短く切ったときには、「武漢で女性看護師がみな髪の毛を丸刈りにして治療にたずさわった時の気持ちが、少しはわかったような気がする、髪の毛がぐちゃぐちゃになっても、命にかかわるわけではないのだから大丈夫」といっていました。

子供の学校行事のため、自分が人の集まる場所に行くことがあると、新型コロナウィルスに感染する可能性が高くなり患者さんや同僚に迷惑がかかる、でも、医療の仕事を続けるなら、家族全員に医療従事者がやるのと同じような私生活の制限を我慢してもらわなければならない、ということの板挟みになって悩んだスタッフは、長年続けてきた当院での仕事を夏に辞めました。

子育て中の母親スタッフは、子供が1日でも軽い熱を出したときは、自分も念のため14日間仕事を休んで自宅待機し、15日目に抗体検査をして新型コロナウィルスにかかっていないということがわかってから、職場に復帰しています。

もしスタッフが、のどのイガイガやくしゃみなど、いつもと違う体調の変化を少しでも感じたときは、その症状が花粉症か、黄砂やPM2.5アレルギーか、持病の喘息か、新型コロナウィルスによるものかの判別がつかないため、14日間仕事を休んで自宅待機し、15日目に抗体検査をして新型コロナウィルスにかかっていないということがわかってから仕事に復帰しています。

夏には、二重マスクと防御服で、暑さと呼吸困難のため気分が悪くなって倒れたスタッフもいますが、これまでひとりも院内での感染を出すことなく来られたことは、来院されるすべての患者さんのご協力があってこそのことだと感謝しています。

医師やスタッフが、感染防止のために私生活を強く制限し、家族にもそれを強いることは、それが医療従事者に求められる職業意識だといえば、それまでのことかもしれませんが、それでも、全国の医療従事者に対して患者さんから、少しでも励ましのお言葉がいただけるのでしたら、医療従事者はみな元気百倍という気持ちになることでしょう。

ひとりひとりの努力が、医療崩壊を防ぎ、たくさんの人の命を守ることにつながります。どうか今は、非常事態であることをご理解くださり、マスクをつけて会話をしないという当院の新型コロナウィルス感染防止対策に、ご理解とご協力をお願いいたします。

20201120

遠谷眼科 遠谷 茂