一般の患者さんに対して病気をわかりやすく説明しようという目的から、医学的な表現とは異なる部分も
ありますがご了承ください。
なお、ここにある説明よりもさらに詳しく幅広い情報を知りたい人は、説明文章の最後に日本眼科学会の
ホームページを学会の承認を得てリンクしていますので、そちらをご覧ください。
このページは以下のことがらについて説明しています。
- 緑内障の病気の説明(症状、原因、種類)
①緑内障はどこに起こる病気?
②緑内障の症状は?
③緑内障の原因と種類は? - 緑内障の治療(目薬による治療、緑内障手術による治療)
- 緑内障セカンドオピニオン
緑内障の病気の説明(症状、原因、種類)
①緑内障はどこに起こる病気?
テレビの配線コードがどこかでおかしくなっていたら、電気がうまく通じないので、テレビ画像が
きれいに映らないかも知れません。
カメラで撮った写真を印刷しようとするとき、画像をプリンターに転送するケーブルに何か問題があれば、
印刷がうまくできないかも知れません。
これと同じような状態が私達の眼で起こるとき、緑内障になっているといえます。
ここでいうテレビの配線コードやケーブルは、私達の眼では視神経にあたり、画像を映すテレビ画面や
プリンターは、私達の身体では脳にあたります。
私達がものを見ているとき、下の図にあるように、眼の中に入ってくる光は網膜のところで集まり
認識されて、視神経が画像情報として脳へ転送します。
脳がその画像情報を最終的に認識したとき、私達は「見えている」と感じています。
この情報伝達の役割をする視神経が何らかの原因でだめになってしまうと、画像情報を
うまく脳に送ることができなくなるので、ものが見えなくなってしまいます。
これが緑内障という病気です。緑内障は成人の失明原因の第一位となっていて、40歳以上の20人に1人は
緑内障であるといわれています。知らないうちに緑内障になっている人も多いです。

眼の奥をのぞく検査(眼底検査)をすると、緑内障になっている患者さんの眼では、
視神経が束になって集まっている場所(視神経乳頭)が白っぽく見えます。

②緑内障の症状は?
緑内障になっていても、最初は毎日少しずつ、自覚症状なしに病気が進んでいきますから、
なかなか気がつきません。
また、片眼の視力が悪くなっても、もう片方の眼がカバーしてものを見ている場合が多いので、
よけいに気がつきにくいです。
会社の健康診断や他の眼の病気で偶然眼医者にかかって、そこで眼の検査をすることで、
緑内障になっているかも知れないということを発見することが多いですから、40歳を過ぎたらぜひ
眼科の検査を一度受けていただきたいと思います。
もし検査をうけた時点で緑内障ではないけれども、緑内障になりそうな眼だということがわかれば、
定期的に眼の状態が変わっていないかを検査していってください。
特に、両親や祖父母に緑内障の人がいる人は、ご自分も体質が似ているはずですから注意をしてください。
どちらかというと男性よりも女性、きつい近視の人、痩せている人、冷え症の人なども、緑内障に
なりやすいタイプではないかと考えられています。
緑内障が進んだら、どんな症状がでてくるかというと、いつも目をあけたとき、決まった場所が
見えなかったり、見える範囲が狭くなったりします。
デジカメとパソコンの例でいえば、デジカメとパソコンをつなぐケーブルが故障しているために、
パソコン画面にデジカメでとった写真がうつらない状態です。
デジカメとパソコンの場合なら、ケーブルを新しいものにすればよいだけですが、私達の眼の中の視神経は
取り替えることができないのです。
緑内障によって視神経がだめになって、一度見えなくなってしまったところは、残念ながら今の医学では
元通りにすることはできませんので、今見えているところを、どれだけこれからもキープしていくか
ということを考えていく治療をしていきます。
<緑内障が進んでいくと、見えなくなる場所も増えていきます>

<緑内障患者さんの視野検査データ(実例)>
※黒い部分は視神経がだめになって、見づらくなっていると思われる部分です。

③緑内障の原因と種類は?
緑内障になる原因としては、栄養を運ぶ役割をもっている眼の中の水(房水)の流れが悪くなることで、
眼の中の圧力(眼圧)が高くなって眼球が硬くなり、そのために脳に画像情報を送っている視神経が
だめになってしまうということが考えられています。
そのため、緑内障の治療としてはまず、眼の中の水の流れをよくして眼の中の圧力(眼圧)が
高くならないようにして、また栄養のゆきわたりもよくして、視神経がだめになってしまうのを防ぎます。
眼の中の水の流れ道が部分的にふさがっているものを「開放隅角緑内障」といい、ほとんど全部
ふさがってしまっているものを「閉塞隅角緑内障」とよんでいます。
眼の中の水の流れの状態を台所の流しにたとえたら・・・・

眼の中の圧力である眼圧は、血圧と同じように、人によって、時間によって、季節によって、
個人差があります。
もともと眼圧が低いのがその人としては普通の人もいれば、眼圧が高いのがその人としては普通の人も
います。
つまり、高い、低いは人によって違うということなのですが、それでも一応の目安として眼圧が
正常であると考えられている範囲は10~21mmHgぐらいだといわれています。
ある日、目が痛いといってかけこんできた患者さんは、緑内障が急に進んで、すぐに緊急処置をしないと
失明してしまうような状態でした。
眼圧をはかると、60mmHgでしたので、とても正常だとはいえない数字でした。
それでは、眼圧の数字だけを見て緑内障かどうかを判断できるのかというと、そう簡単でもないのです。
日本人には、欧米人とは体質が違うのか、眼圧の数値が正常だといわれるような範囲にあっても緑内障に
なってしまう人が非常に多いのです。
こういう緑内障は眼圧が正常なのに緑内障になってしまうので、「正常眼圧緑内障」という病名が
つけられています。
そのほか「先天性緑内障」、「続発性緑内障」など緑内障にもいろいろなタイプがあります。
緑内障の治療(目薬による治療・緑内障手術による治療)
緑内障の治療としては、目薬による治療と手術による治療があります。
緑内障が軽い時期は、眼圧を低くする作用をもつ目薬による治療を行います。
目薬だけでうまく眼圧をコントロ-ルできない場合は、内服薬(のみぐすり)を使うこともあります。
正常眼圧緑内障の人では、多くの人が目薬での治療で、緑内障が進むことを抑えることができます。
最近では、効果の高い目薬がどんどん開発されてきています。
もう少し深刻な、失明につながる危険が高いような緑内障は手術をします。
その中でも、閉塞隅角緑内障の場合は、レーザー治療によって眼圧をコントロールします。
この治療は、普通の診察をするように、診察室で椅子に座って数分でできる治療です。
(レーザー治療をする器械)

レーザー治療をしても眼圧が高いままの眼や、視神経がだめになって見えない場所が
どんどん増えていくような場合には、手術室で行う手術をします。
眼の中の水が外に出ていく道をつくって眼圧を下げようとする手術、眼の中の水が眼の中を流れるときに
通る管にあるフィルターのようなものを切って、眼の中の水の通りぐあいをもっとよくして眼圧を
下げようとする手術の2つが主です。
そのほかにもいろいろ手術の方法がありますが、患者さんの眼の状態に合わせて手術の方法を慎重に
選びます。
緑内障の手術をしても、残念ながら視力が手術の前より良くなるわけではなく、悪くなる場合もあります。
それでは手術はしないほうがいいじゃないかと思われる人もあると思うのですが、手術をしなければ
いずれ緑内障はどんどん悪くなってしまい、視力はもっと悪くなってしまうのです。
緑内障の手術の目的は、眼圧を下げることによって病気の進行を遅くするということです。
緑内障の患者さんにとっては、手術を受けるということはとても決断のしづらいところだと思いますが、
どうか病気を理解して、緑内障の進行を遅らせるということを第一において考えていただきたいと
思います。
最も避けていただきたいことは、緑内障の手術をしなくても大丈夫だといってくれる医師を探して、
あちこちの医療施設を渡り歩くことです。
以前、遠谷眼科で緑内障手術を受けられたある患者さんは、それまでの数年間に7か所ぐらいの医療施設に
行かれていたのでした。
はじめのうちは、きっと目薬で治療しましょうといわれていたのかも知れませんが、ある段階では、
もう手術が必要だといわれていたと思います。
その患者さんがもっと早く緑内障手術を受ける決心をされていたなら、視力はもう少し良い状態に
保たれたかもしれないと思うと、手術を受けたくないというお気持ちは大変よくわかるのですが、
医師としては本当に残念に思います。あちこちの医療施設をたずねていると、その間にもどんどん時間が
経ってしまい、緑内障も進んでしまいます。
緑内障の手術は、手術を実施する時期の判断が簡単ではないのですが、必要となった時は医師と
よく相談のうえ、どうか勇気を出して前向きに治療にのぞんでいただきたいと思います。
緑内障セカンドオピニオン
「ある医師には緑内障のうたがいがあると言われ、別の医師には緑内障ではないと言われ、
いったいどちらの意見が正しいのか知りたいのです」と尋ねてこられる人が時々いらっしゃいます。
そういうときの患者さんの気持ちとしては、緑内障ではないといってくれる医師の意見が
正しくあってほしいと思う一方、もし緑内障だったら、放っておくと失明しないか心配で、本当に
毎日悩まれているわけです。
どうしてこういうことが起こるのかといいますと、たとえば、患者さんが検査のやり方に
慣れていなかったために、また、瞼が下がっていたために、視野検査のデータが実際に
見えている状態よりも悪くでてしまったということがあります。
また、視神経の状態の変化が緑内障の早期診断の大きなカギであるという点からいえば、視神経の状態が
ちょっと変だな、という場合は、緑内障かも知れないと医師が考えるのも不思議ではありません。
しかし、緑内障以外の病気でも視神経の状態が変化したり、原因不明なことでも視神経の状態が
変化したりすることがあるので、本来は緑内障ではなさそうな人が、全く副作用がないわけではない
緑内障の目薬を長期間使い続けているということも現実にはあり、これまた難しいところです。
最近では、視神経の状態をより詳しく調べる検査器械が開発されてきていて、以前よりは早い時期に
緑内障の診断がしやすくなってきました。
自分が緑内障という、もう治らない病気にかかっていて、いつかは失明してしまうのだ、と思って
毎日悲観的に過ごすのと、緑内障にかかっている可能性は全くゼロではないけれども、
そうでない可能性もある、また、緑内障だとわかっても、こういう方法できちんと治療していくから、
病気が進むのを遅らせることができる、と安心感をもって毎日過ごすのでは、身体や心が感じるストレスが
全然違います。
緑内障について不安な点があれば、どんなに小さなことでも早いうちに解決して、適切な治療を
早く開始していただきたいと思います。
※もっと幅広く詳しい情報を知りたい人は、以下のページもご覧ください。
(学会の許可を得てリンクをつけています)
日本眼科学会のページ(緑内障)
http://www.nichigan.or.jp/public/disease/ryokunai_ryokunai.jsp




