レーシックの一般的な知識

このページには、日本全国どの施設でレーシックを受けるかにかかわらず、レーシックを受けたいと
考えているすべての人に公平で役に立つと思われるような医学情報を掲載しています。

すべての情報は、遠谷眼科がここ数年、毎年参加しているASCRS(アメリカ白内障屈折矯正手術学会)とESCRS(ヨーロッパ白内障屈折矯正手術学会)において、発表者の知識レベルにばらつきがあるために
内容が玉石混淆となる一般発表ではなく、学会主催プログラムとして実施される
インストラクションコースやシンポジウムにおいて発表された内容、レーシックの分野で
世界的リーダーの役割を果たしている医師たちが共同で執筆した最新の書籍、これまで10年以上にわたり
レーシックを行ってきた遠谷眼科での実際の治療例など、その出所が信頼できるものに基づいています。

※一般の人々に対するわかりやすさを優先しているので、医学的な表現とは異なる部分がありますが、
ご了承ください。

はじめに

FDA(アメリカ食品医薬品局)は2008年4月25日、レーシックの安全性を向上させる目的で
公聴会を開き、レーシックを受けて何らかの健康被害にあった人やその家族から意見をききました。
2009年5月22日、そして2011年9月23日には再び、FDAは眼科医療プロフェッショナルに
対してレターを出し、レーシックの手術器械やレーシックについての誇大な宣伝情報や不適切な情報が
流されているのを見かけた場合は、FDAに通報するよう呼びかけています。
また、レーシックを受けた人に対して、もしその人が、レーシックを受けたことが原因で日常生活に
支障が起きるようになってしまったら、FDAに報告するようウェブサイトで呼びかけています。
アメリカの政府機関がこのようなことを行っている背景には、レーシックという医療技術がアメリカの
宇宙飛行士や軍人に適用される非常に安全性の高い医療技術である一方で、FDAの監視の届かないところで
ずさんなレーシックが行われ、その後遺症のために苦しんでいる人が現実にいるということがあります。
インターネットの情報は、「言ったもの勝ち」的なところがあるので、医療倫理よりも資本主義社会の
利益追求が優先された場合には、どうしてもその情報内容は多くの人々にレーシックを
受けてもらいやすいような、いいところばかりの利益誘導型情報になってしまいます。

眼科医の中には、適切な人に対して適切な方法で実施すれば、レーシックは私たちの生活の質を
上げることに役立つ医療技術であると考える医師が世界でもたくさんいます。
しかし、万一トラブルが起こってしまうと、たとえその発生率は非常にまれではあっても、日常生活に
何らかの影響がでる可能性がある以上は、病気ではない眼に行う医療技術としては賛成できないと
否定的に考える医師もいます。

このページは、レーシックという現在進行形の医療技術の姿を、ありのままに、良いところも悪いところも
含めて、わかりやすく知ってもらいたいと思って作成しています。そしてレーシックを受けるにしても、
やめるにしても、その決断をサポートする情報として使ってもらえれば、嬉しく思います。

※レーシックのページを読む前に、近視・遠視・乱視のページをお読みくださると、
 より内容がわかりやすいと思います。

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レーシックという医療技術はいつ開発されたの?

レーシック(laser in situ keratomileusis, LASIK)は、レーザーで角膜を削って角膜の形を変え、
視力を矯正する手術です。
keratosはギリシャ語で「角膜」、「mileusi」は彫刻するという意味です。
角膜の形が変わると、光が眼の中に入ってくる角度が変わるので、手術前には合っていなかった眼の焦点が
うまく合うようになり、ものが見やすくなるのです。
レーシックは1990年に確立された技術で、20年ぐらいの歴史があり、眼科の手術の中では、適切な人に
適切に手術が行われれば、手術のメリットがデメリットを上回る安全性の高い手術であると
みなされています。
遠谷眼科は1999年に、関西の眼科専門医で初めてレーシックを開始しました。

レーシックは、眼科の手術の分野としては、屈折矯正手術(refractive surgery、リフラクティブ・
サージャリー、リフラクティブは英語で「屈折による」、サージャリーは「手術」という意味)という
分野に入ります。
屈折矯正手術というと難しく聞こえますが、簡単にいえば眼の中に入ってくる光の屈折力を変えることで、
視力を矯正しようとする手術だと思ってください。

角膜を削って視力を矯正するというアイデアは、実は昔からあって、今からおよそ60年前の1949年に、
コロンビアのボゴタで、ホセ・イグナチオ・バラケ医師によって考案されました。
その時点ではレーザーで角膜を削るという技術がまだ開発されていなかったので、ろくろを使って角膜を
加工して研究が行われていたそうです。
その後、何人もの医師のいろいろな研究が加えられて、現在のレーザーで角膜を削ることにより近視・
遠視・乱視を矯正するレーシックという医療技術ができあがりました。

レーシックで失敗したら失明するのかと質問されることが時々ありますが、眼科手術の基本に沿った
手術をすれば、レーシックで失明するような事態は通常起こりません。
レーシックは、眼の表面の角膜という部分に行う手術なので、他の白内障や緑内障や硝子体手術のように
顕微鏡を使って手術器具を眼の中に入れていく手術に比べ、単純で易しい部類の手術だからです。
10年ぐらい前のレーシックでは、手術器械の性能がまだ今ほど高くなかったため、医師の技量に頼る部分が
かなりありましたが、最近の手術器械では、手術のプロセスがほとんど自動化されていますので、
手術中に医師の技量や判断が問われるような事態はかなり少なくなってきています。

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レーシックは「ぜいたく手術」?

レーシックが他の眼の病気の手術と違うところは、「しても、しなくてもいい」手術だということです。
なぜなら、視力を矯正するには眼鏡やコンタクトレンズという、きちんと使えば安全性の高い別の方法が
あるからです。
白内障、緑内障、糖尿病網膜症など、一般的な眼の病気の場合は、あるレベルにまで病気が達すると、
そのまま手術せずに放っておくと失明します。
ですから、患者さんがどんなに手術がいやで怖くても、失明がいやなら手術をするしかありません。
一方、レーシックの場合は、手術をしなくても患者さんが失明することはありません。
ですからレーシックは、病気を治す手術だとはみなされず、保険がきかない全額自費で支払う手術と
されているのです。つまり、一種の「ぜいたく手術」である、とみなされているのかも知れません。

しかし、例外的にレーシックが、ぜいたく手術ではなく、必要な手術だといえる人たちがいます。
その人たちは、いつも生命の危険と隣り合わせになることが多い、軍人のような人たちです。
砂嵐やがれきの中では、眼鏡をしていると眼鏡が砂ぼこりで曇るために、前が見えなくなってしまいます。
コンタクトレンズをしていると砂が眼の中に入ってくるために、眼が痛くてあけられなくなって
しまいます。
一瞬の動作や判断の狂いが、生命の危険につながってしまうような人たちにとっては、レーシックは
ぜいたく手術ではなくて、生命を守るために必要な手術だといえることもあるでしょう。

しかし、ここでみなさんにわかってほしいことは、レーシックが軍人には必要となりうる手術である
ということではなくて、同じ医療技術が、同じような視力の状態の人たちにとって、ある人にとっては
非常に必要である一方で、別の人には全く必要がない場合があるということなのです。
ですから客観的、論理的に、レーシックという医療技術のもつプラス面がマイナス面を上回るか
よく考えてから、レーシックを受けてほしいと思います。

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レーシックの満足度はどのぐらいなの?

レーシックという手術が一般にはどの程度の満足度をもたらしているのかといいますと、満足であると
明確に答えている人の割合は95%ぐらいであるといわれています。
そうすると、残り5%ぐらいの人が大なり小なり何かしらの不満をかかえているということなのですが、
この点についてはいろいろと学会でも議論されています。「矯正が強すぎる」、「矯正が弱すぎる」、
「夜の光がまぶしく、ぎらついてみえる」、「見え方が前より暗くなった」などのような感覚的なものが、
不満足の原因ではないかと考えられています。
夜間の光の見え方の問題は、手術器械の性能進化とともにかなり軽減されてきていますが、
その他の問題は、レーザーで削った角膜表面が変化していく過程や、脳や身体が新しい見え方に
順応していくスピードや程度が人それぞれ違うので、手術の結果を100%コントロールすることは
できません。ですから、レーシックは角膜をμm(1,000分の1㎜)単位で削る精密な手術ではありますが、
やってみなければ結果の細かいところまではわからないアバウトな手術でもあります。

また、年齢的なことをいうと、若い人の方が年齢の高い人よりもレーシックを受けたことに対する
満足度が高いという傾向があります。
その理由としては、年齢の高い人はすでに老眼になっているため、レーシックをすると近くが
見づらくなり、そのために満足度が低くなるのではないかということが挙げられています。
ですから40代以降の人にとっては、レーシックはよほど遠くを見たいという動機が強くなければ、
それほどメリットがある医療技術ではありません。
たとえ若い人であっても、手元の作業ばかりしている人には、レーシックの満足度は高くないかも
知れません。それは、老眼世代の人と同じように、遠くが見えるようになることと引き換えに、
近くを見るときには眼がとても疲れてしまうということが起こるかも知れないからです。

「素朴な質問ですが、先生はどうしてレーシックをする人なのに、眼鏡をかけているのですか?」と
聞かれることがあります。
もしレーシックがそれほど良い医療技術なら、眼科医が真っ先に受けているはずだと考えるのも
当然なことで、この質問は非常に鋭い質問です。
簡単にいえば、「眼科医は患者さんに対してレーシックの手術はしますが、眼科医がレーシックを
受けると、職業上不便になってしまうことがでてくるのです」というのが正直な答えです。
眼科医の仕事では、診察で患者さんの眼の中をのぞくときも、顕微鏡で眼の中をのぞきながら手術を
するときも、カルテを見るときも、大体自分の腕の長さで足りる距離で行う近くの作業が多いです。
ですからまだ20代や30代の、若くて遠くをよく見るゴルフやアウトドア・スポーツなどの趣味を
もっている活動的な眼科医の場合は、レーシックを受ける人もいると思うのですが、すでに40代を越えて
老眼が顕著になってきている眼科医の場合は、レーシックをすると遠くが見えるようになっても手元が
見にくくなるので、よほど遠くを裸眼でみたいとか、人前にでるときは眼鏡をかけたくないとかいう
強い動機がなければ、レーシックを受けない人が多いと思います。
ですから、老眼世代である遠谷眼科の遠谷も戸田も、患者さんに対してはレーシックの手術はしますが、
自分はレーシックを受けずに近視で老眼のまま、眼鏡をかけて仕事をしています。
この答えにどのぐらいみなさんが納得されるかわかりませんが、とにかく年齢を問わず、手元の作業が
多い仕事をしている人や、細かい仕事をする時に身体的な感覚が重要とされる仕事をしている人は、
レーシックには不向きであると思います。

遠谷眼科が2006年9月に買い替えて、現在まで使っているレーザーでは、そのレーザーで2011年までの
5年間に実施したおよそ3千件のレーシックで、手術後に起こった何らかの問題を解決するために実際に
来院された患者さんは数人います。(眼科の手術は、いつも両眼にするわけではなく、片眼だけに
することもあるので、1件といえば片目1眼のことをいいます。ですからレーシックで3千件といえば、
普通は両眼に行う手術なので、人数としては1,500人のことです。)
大半は、手術後数年して、両眼あるいは片眼の視力が近視に戻ってきたので、再手術をして視力を
アップさせることは可能かどうかを尋ねてこられた人です。
1,500人のうちの数人ということなら、数値としては1%以下だということになるのかもしれませんが、
その数字の背景には「欲をいえばもっと改善したらなぁというところもいろいろあるのだけれど、
今まで見えなかった距離のものが見えるようになったから、まあこんなもんだと思っている」という
寛容な患者さんの存在があると思います。
現在、当院でまだ解決できていない問題としては、レーシックをした後、左右の眼の見え方の差が
気になるという患者さんがひとりいて、その差も検査数値には表れてこないような本当に微妙なもので、
この人の状態改善をどのようにしていくかということがあります。
この人の問題は、本当に微妙な屈折力の差なのかも知れないし、乱視の状態の差なのかも知れません。
しかし、再手術はやり直しがききませんし、再手術をしても状態が今よりも悪化するリスクがゼロでは
ありません。
その患者さんが快適な見え方だと感じる状態に、間違いなく近づける確率が非常に高いと思われる
手術方法を何とか早く探し出したいと考えていますが、今のレーザーや検査機器の性能がまだ
そこまで追いついていないような気もしますので、今すぐに解決してあげられない点については本当に
心苦しく思っています。
おそらく、同じような視力や見え方の状態であっても、他の多くの人では全く問題がないとされること
でも、繊細な感覚をもっている人の場合には、問題となる場合があるのかも知れません。

2011年のASCRS(アメリカ白内障屈折矯正手術学会)で、3月29日に行われた「ASCRS FDA Symposium LASIK Quality of Life Study Update (ASCRS FDA シンポジウム レーシックの
生活の質研究 最新報告)」の中で、アメリカ海軍サンディエゴ基地の海軍中佐Hofmeister医師は、
「海軍では過去10年間に10万人以上の軍人が屈折矯正手術を受けてきた。
軍務についていた中でひとりだけ、レーシックを受けた後に見え方の質が悪くなったという理由で
除隊になった人がいる、その人がレーシックをした後の視力は20/20(= 1.0)で、
高次収差(見え方の質を悪くすると理論的に考えられている、眼の中の光のばらつき)も低い、
それなのに、どうして見え方の質が悪いというのか?よりよいレーシックを行うために、このような
患者こそ研究をしていかなくてはならない」といわれていました。

レーシックという医療技術の満足度を100%に近づけていくためには、患者さんの見え方に対する
主観的な部分と、眼科の検査データや手術器械の性能などからくる客観的な部分のギャップを、
コミュニケーションによって手術の前にどれだけ埋めていくかということがとても大切であると
考えています。
医療従事者の側では当たり前だと思っていて、わざわざ聞くまでもないというようなことでも、
患者さんからすると、聞かれるまで考えもしなかったというようなことがありますから、何か不安や
疑問に思うことがあったら、遠慮しないでスタッフや医師に質問してほしいと思います。
そして、もし自分にレーシックは向かないのではないかと少しでも思ったら、決断を急がないでください。
レーシックは、「しても、しなくてもいい」手術ですし、しようと思ったら、その時でなくても、
あとからいつでも受けることができます。

レーシックの満足度について詳しく知りたい人はこちらをお読みください
http://www.entani.com/kinshi/lasik2010.html#link1
「1.海外で実施された、レーシックを受けた患者さんに対する満足度調査の結果」

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ものの見え方は人によって違うの?

私たちがものを見ているとき、眼がものを見ていると思っている人が多いと思いますが、実は脳が
最終的にものを見ています。
その点では、私たちの眼は脳のために視覚情報を集める、脳の出先機関であるといえるでしょう。
そしてまた、脳は眼が集めてくる視覚情報を全部使わずに、自分の好きな情報だけをとりあげて、
嫌いな情報は無視するという、情報の取捨選択をすることもわかっています。
耳でも同じようなことが起こっています。たとえば、電車の中で本を読んでいる時など、電車の音や人の
話し声が本当は耳で聞こえているにもかかわらず、そういう音は自覚しないというようなことです。
また、両眼でみていても、右眼の情報と左眼の情報は、別々に脳に伝わっていて、最後は脳が右眼と
左眼の情報をうまく合体させていることがわかっています。
つまり簡単にいえば、私たちは自分モードの画像調整機能をもっているというわけなのです。

レーシックだけに限りませんが、眼科の手術をすると、いきなり昨日と今日では見え方が変わります。
そのような場合、見え方の急激な変化に翌日から順応できる器用な人もいますが、そうではない人も
います。
「人工の手を加えない自然な眼に優るものはない」ということをふまえた上で、患者さんと医師が
共同して、できるだけ脳に負担をかけないような手術を行っていくことが大切だと思います。

見え方と脳の関係について詳しいことを知りたい人は、こちらをお読みください。
http://www.entani.com/kinshi/lasik2010.html/3
「3.レーザーの照射方法に対する世界の医師の考え方
(ウェイブフロント・ガイデッド、ウェイブフロント・オプティマイズド)」

※遠谷眼科のレーザーは、現在Allegretto Wave Eye-Qを使っています。
(医療機器承認番号22300BZX00418000)
このレーザーは、ウェイブフロント・ガイデッド方式でも、
ウェイブフロント・オプティマイズド方式でもレーザー照射ができますが、
最初に行うレーシックの場合は一般的にウェイブフロント・オプティマイズド
方式を採用するレーザーです。
以前に遠谷眼科で使っていたVISX STAR S4 IRは、一般的に
ウェイブフロント・ガイデッド方式を採用する方法です。

レーザーの性能について詳しいことを知りたい人は、後述の
どの手術器械の性能が一番優れているの?
をお読みください。

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レーシックをすると裸眼視力はどのぐらいになるの?

レーシックをした後は、翌日に1.5や2.0に裸眼視力が上がる人もいれば、1週間、2週間、1ヶ月とかけて
視力が徐々に上がる人もいます。
また、手術前の眼の状況により、手術をしても1.0までは可能性が高いけれども、1.5や2.0までは
難しいという人もいます。
遠谷眼科で行ったレーシックのこれまでの傾向をみていると、近視の程度がきつかった人や、年齢が
高い人の方が視力の回復には時間がかかっています。
また、薄いフラップを作った人の方が、視力の回復には時間がかかる傾向があるようにも思います。
下のグラフは、2006年9月から2008年3月第2週までの間に遠谷眼科でレーシックを受けた人の、
およそ550眼の裸眼視力(手術翌日から1か月後までの視力の平均値)データです。
左下のグラフでは、近視の程度が軽い人の方が、右下のグラフでは、若い人の方が、小数視力の数値が
高いという傾向がみてとれますが、どの年代でも、時間の経過とともに視力が回復しているということは
共通しています。

※日本眼科学会のガイドラインでは、-10Dまでの近視がレーシックの適応範囲であるとされていますが、
当院が使っているAllegretto Wave Eye-Qは、FDA(アメリカ食品医薬品局)によって-12Dまでの
近視矯正が認可されていますので、-10Dを少し超える近視の患者さんもその他の手術適応条件が
満たされている場合には、数は少ないですがレーシックを実施した人もいます。

最近は携帯電話やパソコンに囲まれる日常生活環境があり、近い距離でものを見ることが
多くなっていますので、 一度レーシックで近視を矯正しても、その人の生活環境により、
また近視の方向に戻っていくということもあります。
このような状態は、リグレッションとよばれています。
リグレッションとは英語で「あと戻りする」「回帰する」という意味です。
しかし、手術後何年ぐらいしたら、どのぐらいの人がまた近視になるのかというと、その人の
生活状態にもよるので個人差があります。
毎日パソコン操作や書類を読んでいることが多い人と、スポーツをしている人では、生活環境が違うので、
近視に戻りやすいかどうかも違うと思われます。
遠谷眼科でのレーシック再手術は、現在の手術器械を使い始めてからは、5年間(2006年~2011年)の
およそ3,200眼のレーシックで、2眼実施しました。
この数字は非常に少ないと思う人もいるかもしれませんが、レーシックの再手術においては、
患者さんそれぞれの年齢やライフスタイルが大きく関係しています。
たとえばレーシックを受ける前の小数視力が0.1以下だった人が、レーシックをした後に1.2ぐらいに
なって、それがまた0.7になったとしても、昔に比べたらまだ十分、わざわざ再手術をするほどではないと
考える人も多いと思います。
また、30代半ばでレーシックを受けた人は、手術後数年たって、またなんとなく近視に戻ってきたような
気がするけれど、最近は老眼も感じるようになってきたので、近視の方が近くを見やすくしてくれるので
ちょうどいい、という人もいます。

老眼世代の人は、レーシックをすると、遠くは見えるようになりますが、近くは見にくくなります。
老眼は、簡単にいうと、加齢により水晶体が固くなって伸び縮みしにくくなるために起こる状態ですから、
角膜の形を変えることで視力を矯正しようとするレーシックでは、一般的にうまく老眼を矯正することは
できません。
20代、30代のときにレーシックで近視を矯正した人も、いつかは老眼になりますから、10年後、
20年後は眼鏡が必要になることを忘れないでください。

※現在世界で行われている老眼の矯正方法について詳しく知りたい人は、
近視・遠視・乱視・老眼のページ 
老眼はなぜ起こるの?
をお読みください。

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レーシックを受けることに慎重になるべき人は?

レーシックをしても、手術後の結果がよくない可能性が高い人の例としては、糖尿病にかかっている人、
妊娠中の人、授乳中の人、視力が変動する薬をのんでいる人、皮膚結核にかかっている人、
慢性関節リウマチにかかっている人、HIVにかかっている人、レチノイン酸やステロイドなどの薬を
使っている人、まだ身体の成長が続いていて眼の形が変わる若い人などです。
また、眼のヘルペスにかかったことがある人、緑内障にかかっている人、緑内障にかかっている疑いの
ある人、眼圧の高い人、眼に炎症が起こっている人、眼に怪我をしている人、眼の手術を前にしたことが
ある人、眼瞼炎になっている人、瞳孔径が大きい人、角膜が薄い人、非常に強い近視の人、屈折矯正手術を
すでに受けたことがある人、ドライアイになっている人、抗精神薬をのんでいる人などもレーシックを
受けることに対して注意しなければいけません。このような人は、必ず医師によく相談してください。
男性よりも女性の方が、レーシックの適応のハードルは高いです。女性がレーシックを受けるときに
考えないといけないことを次に説明しますので、特に将来子供をもつ可能性の高い若い女性には
よく読んでいただきたいと思います。

日本眼科学会のガイドライン
http://www.nichigan.or.jp/member/guideline/lasik.pdf

FDA(アメリカ食品医薬品局)によるレーシックのウェブサイト
When is LASIK not for me?(どのような時に私にはレーシックが適さないか?)

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女性がレーシックを受けるときにはどんなことに注意するの?

女性ホルモンの量は角膜の固さに大きな影響を及ぼします。
まず、避妊のピルをのんでいる時と、のんでいない時では、視力の出方が違います。
レーシックを受けるときの手術前検査は、男性よりも女性、そして若い女性の方がより検討すべき項目が
多いです。20代から30代の女性の場合は、近いうちに妊娠することを考えているか、不妊治療を
しているか、出産・授乳が終わってからどのくらいの期間が過ぎているかなど、女性ホルモンの状態と
将来のプランを医師と相談して確認してから、レーシックを受けてください。
40代から50代の女性の場合、ドライアイの状態がきつくなるといわれますので、注意が必要です。

※妊娠中および授乳中は、視力が変動するのでレーシックは禁忌(=してはいけないこと)だということは
世界の常識です。
きちんと勉強をしている医師なら当然知っていることですから、まともな医師なら、妊娠中や授乳中の
女性にレーシックをすることは、まずありません(当院に他施設で授乳中にレーシック受けて経過が
よくないために来られた人がいます)。
アメリカ眼科学会の「Refractive Surgery(リフラクティブ・サージャリー)2010-2011, 
American Academy of Ophthalmology 」には、多くの医師は、出産と授乳を終えてから3か月は
検査や手術を待つべきだと考えている、と書かれています。

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レーシックの合併症(副作用、トラブル)にはどんなものがあるの?

どの手術においても合併症があるのと同じように、レーシックにも合併症はあります。
その中でも主な合併症を以下に挙げてみます。その他にも合併症はありますので、万一合併症が
起こったら、レーシックを受けた施設できちんと相談してください。

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①ドライアイ

ドライアイはレーシックで最もよく起こる合併症です。レーシックを受けた後、誰でも多かれ少なかれ、
眼が乾くと感じます。原因としていろいろなことが考えられていますが、そのうちの大きなものとして、
フラップを作るときに角膜を切断することと、角膜にレーザーをあてることが、神経にダメージを
与えるということが挙げられています。
この点では、フラップを作らないPRKの方が、レーシックよりもドライアイは軽いといわれています。
レーシックを受けようとする人の中には、コンタクトレンズがごろごろしていやだからという人が
よくありますが、これはドライアイ体質であるというサインであることが多いです。
このような人はレーシックをすると、もっとドライアイになるので、レーシックをする前にドライアイの
状態がどのくらいか調べて、先にドライアイの方をしっかり治療してからレーシックを受けないと
いけません。

レーシックの後、角膜が急激に回復していくのは、手術翌日から数週間(ほぼ1か月ぐらい)の間です。
この間ドライアイになってしまうと、角膜の表面がざらざらになり、回復が遅れてしまいます。
どんなに精密な検査をして、どんなに精密にレーザーをあてても、手術後の角膜がうまく回復しないと
視力も安定しません。
ですから手術後1か月ぐらいの間は積極的にドライアイを防いで眼を護ってほしいのです。

FDA(アメリカ食品医薬品局)は、レーシックの後1か月間は、レーシックの合併症としてのドライアイが
誰にでも起こるとしています。
それ以降のドライアイは、もともとの体質にもよるでしょうし、職場や自宅の環境にもよるでしょう。
同じ人でも、場所が変わればドライアイの症状を感じたり、感じなかったりします。
エアコンの吹き出し口の近くに座ることの多い人や飛行機の中など、極端に乾燥した室内で仕事をする人は
ドライアイになりやすいです。
パソコン作業を長時間する人は、パソコンから出てくる温風だけでなく、画面をずっと見つめることで
ドライアイになりやすいです。
文章を長時間読む人、細かい数字を読む人、細かいものを仕分ける人など、何かをまばたきをせずに
じっと見ることの多い職業の人は、職業柄いつでもドライアイになりやすいです。
携帯電話をよく見ることもドライアイにつながります。
そうすると、私たちは誰でも、いやでもドライアイになってしまうような日常生活環境の中にいることが
わかります。
目薬ではドライアイが治らないような場合は、コラーゲンでできたプラグを涙の穴に入れる治療も早めに
考えた方がよいでしょう。

ドライアイを予防するには、目薬をさすのはもちろんのことですが、日常からオメガ3脂肪酸を含む食品や
サプリメントを多くとることも効果があるといわれています。
オメガ3脂肪酸は、魚の油に多く含まれているDHAやEPAという成分です。
エゴマ油や亜麻仁油などの植物油にも含まれています。

ドライアイとその治療については、遠谷眼科の海外学会情報のページもお読みください。
http://www.entani.com/kinshi/lasik2009.html#link1
http://www.entani.com/kinshi/lasik2008.html

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②夜間の光の見え方の変化(グレア現象、ハロー現象)

レーシックを受けた人が感じる合併症で代表的なものとしてあげられるものは、夜間の光の見え方の
変化です。
夜の光がぎらぎらまぶしく見えるようになります。
夜、対向車のライトがまぶしくて、眼を細めないといけないような状態(グレア現象)が起こります。
また、今でも街灯の周りには、ぼんやりと光のもやが、かかって見えている人もいると思うのですが、
それがさらに加速されて、光の周りに何重にも光の輪のようなものがかかって見える状態(ハロー現象)が
起こります。
角膜を削ったことによって、眼の中で光の反射が変わり、このような現象が起こるのではないかと
考えられています。
このような光の見え方の変化には、時間とともに脳が慣れて気にならなくなるともいわれていますが、
その程度にはやはり個人差があります。
夜間に瞳孔がどのぐらい大きくなるかは人によって違い、直径6mmの大きさになる人もいれば
直径8mmの大きさになる人もいます。
夜間に光の見え方がまぶしくぎらついたり、もやもやとした光の輪がかかって見えたりする人は、
瞳孔が大きくなる人に起こりやすいといわれています。
ただ、最近の海外の研究では、瞳孔が大きくてもこのような光の現象を感じない人もいるという話も
あります。
見え方の変化がどのぐらい起こるかを100%予測することは不可能にしても、手術前に瞳孔の大きさを
きちんと測ることで、ある程度は夜間の光の見え方の変化がひどく起こる可能性が高いかどうかは
推測できるかも知れません。
実際にレーシックをしてみて夜間の光の見え方が不快に感じるかどうかということは、最終的にその人の
脳が新しい見え方に慣れるかどうかということによるので、レーシックをしてからある程度時間が
たってみないとわかりません。
光の見え方がぎらついたり、まぶしくなったりすると困る、輪がかかるように見えると困るという人は、
レーシックはやめた方がよいと思います。職業としては、夜間、車や単車を運転する職業に
ついている人は、安全面から道路事情などを考慮して、レーシックを受けても大丈夫かどうかを
よく検討してほしいと思います。

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③見え方の明暗の変化(コントラストの変化)

テレビやパソコンの画面が明るいときや暗いときに、画面の明るさやシャープさを調整して
見やすくすることができる機能があることを思いうかべてください。
この画面の明暗・濃淡のことをコントラストといいます。
私たちも、脳がうまく画像調整をしてものを見ているのですが、レーシックをすると、ものが
前より暗く見えるようになった、ものの輪郭が前のようにシャープに見えなくなったと感じるという人が
います。
実は、レーシックをしてコントラストが上がったという人もいないわけではないのですが、
コントラストが低下したと感じる人の方が、日常生活や職業に影響があって困るので、レーシックを
受けるときにはコントラストの低下が起こりうるということを警戒しないといけないのです。
海外の学会では、眼のカーブが急な人や、平坦な人、角膜を多く削った人が、コントラストの低下を
感じやすいといわれています。
画家やデザイナーなどの芸術家、歯の色で虫歯の程度を見分ける歯科医や、現場におちた
塗料のかけらから車種を割り出す鑑識の仕事など、細かい色の違いを見分けるような仕事をしている人は、
今の色の見え方が変わる可能性がゼロではないので、レーシックを受けても大丈夫かどうか
もう一度検討してください。

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④低矯正(アンダーコレクション)、過矯正(オーバーコレクション)

レーシックは、正視という、近視でもなく遠視でもない状態を目指す手術なのですが、私たちの
眼の角膜は、人によって状態が違いますので、同じようにレーシックをしても、予想以上に矯正が
強くでたり、弱くでたりすることがあります。
また、レーシックで削った後の角膜の回復状況にも個人差があるので、その差が手術後の視力に影響を
与えることもあります。手術前の検査のデータが、実際の視力とは誤差があった場合にも、手術後の視力に
影響を与えます。
矯正を強めたり、緩めたりする再手術は、一般的には、近視を矯正するレーシックをした場合は、
手術後2か月から半年の間に、遠視を矯正するレーシックをした場合は、半年たってからします。
手術を実施する時期に幅があるのは、視力が安定するまでにかかる時間が、人によって違うからです。

※再手術について、より詳しいことを知りたい人は、後述の
レーシックの再手術はどのぐらいの割合で実施されるの?
レーシックの再手術はどのようにしてするの?
をお読みください。

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⑤Diffuse Lamellar Keratitis (DLK)

DLKは角膜に起こる炎症です。DLKが起こる原因はいろいろと推測されていますが、これというものは
まだわかっていません。
DLKが起こると、フラップの内側に白い小さな粒のようなもの(炎症細胞)が砂をまいたように
うっすら見られます。
手術の翌日、レーシックを受けた全体の2%から4%の人に起こるといわれています。
放置していると数日で、白い粒が白いかたまりのように広く大きくなり、中心部まで及びます。
最後には角膜が溶けてしまって、ものが見づらくなり、最悪の場合には角膜移植をしないといけないように
なります。
DLKが起こったら、少しでも早く治療を始めないといけません。
どんなに仕事が忙しくても、どんなに大事な用事が入っていても、DLKの治療は時間との戦いなので、
治療の方を優先してください。
初期の段階ではステロイドの目薬などで治し、この時点でDLKをしっかりおさえこむことが大切です。
もしDLKがそれでも治らないときは、フラップをめくって眼を洗浄します。DLKが進行して角膜が
溶け始めたら、もう眼の洗浄はできないので、あとは角膜の状態がこれ以上悪くならないように保存的な
努力をするしかなく、視力を回復することも難しくなります。

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⑥Epithelial Ingrowth (エピセリアル・イングロース)

角膜上皮細胞が、フラップとその下の角膜との間に入り込んでしまう状態です。
最初のレーシックでは、全体の3%未満の人に起こるといわれていますが、再手術のときは発症率が
上がります。
普通は周辺部が白く濁るだけなので、視力に影響がでることは少なく、そのため自覚症状も
あまりありません。
しかしその白い濁りが中心部に及んでくると、乱視がでたり、遠視になったりして、視力が落ちたという
自覚症状がでてきます。
初期の段階では、小さな白い濁りがフラップ周辺部2mmぐらいのところに起こります。
数か月の間に自然と消えていくことも多いので、経過観察をします。
もし、この白い濁りが消えないで、中央に向かって広がってきたら、今度は病気の進行を警戒しないと
いけません。
なぜなら、ひどい場合にはフラップが溶けてしまうことがあるからです。早くフラップをめくって、
その下にある白い濁りである角膜上皮細胞を完全に取り除くことが大切です。

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⑦エクタジア(角膜拡張症)

ここ数年、レーシックの手術前検査で最も大切だと考えられているのは、エクタジアという病気が
起こりやすい眼かどうかを手術前の検査で検討し判断することです。
エクタジアは、レーシックやPRKという屈折矯正手術を行うことで、角膜の強度が損なわれ、角膜の後面が
前面に突出してくることで角膜が変形し、乱視が発生することで視力が急激に低下する深刻な合併症です。
海外の学会報告でのエクタジア発症率にはさまざまなデータがありますが、発症頻度の目安としては5,000眼に1眼です。

エクタジアがなぜ、どのようにして、いつ起こるかというメカニズムは、いまだ全て解明されておらず、
その治療法についても現在世界の眼科学会で著名な医師たちが試行錯誤を重ねながら研究しています。
屈折矯正手術を受けていなくても、エクタジアと同様に角膜が突出することにより乱視が発生し、視力が
急激に低下する「円錐角膜」という病気を発症する人もいますので、角膜が突出する病気が
あるということは、すでに一般的な眼科の病気として広く認知されています。
海外でこれまでにエクタジアや円錐角膜を発症した人について調査した結果、角膜が柔らかい人に
起こりやすいということや、眼をこするくせのある人に起こりやすいということがわかっています。

エクタジアが、角膜が弱くなるということで起こると考えられていることから、レーシックの手術前の
検査ではいろいろな観点からリスク要因がどの程度あるかを確認し、最後は総合的に判断をします。
その中でも特に重要な点として、もともとの角膜の厚さが500μm未満ではないか、レーザーで角膜を
削った後の残りの角膜の厚さが250μm未満にならないか(国際基準では250μmですが、遠谷眼科では
誤差が出る可能性を考慮して280μm)、すでに円錐角膜の病気の兆候が起こっていないか、というような
ことをまずみます。
近視の程度がきつい人だと、角膜を削る量が多いため、残りの角膜が不足してしまう可能性があります。
レーザーの種類によっても、同じ矯正量を実現するのでも、角膜を削る量に20μm程度の違いが
でることがあり、ボーダーラインのケースの人では、このレーザーでは角膜が不足してだめだけれども、
別のレーザーではぎりぎり角膜が残るので、レーシックが可能だということもあります。
また、それほど近視は強くなくても、もともとの角膜の厚さがそれほどない場合は、たとえ角膜を
削る量が少なくても、残りの角膜が不足してしまう可能性があります。
角膜の厚さには何も問題はないけれど、角膜の形の方に問題がありそうだ、という場合もあります。
誰が見ても満場一致で危険だとわかるような、いびつな角膜の形の人もいますが、なんとなくいやな
形の角膜だなというぐらいの人もいます。
特に、角膜の後面がでこぼこしている人の場合は注意します。
今は何も現れていないけれど、水面下で何かが起こっている可能性があるかもしれないと思うからです。

この、レーシックをしてもいい眼か、そうでない眼か、という判断基準も、医師や施設によって違います。
角膜の形を見たときの医師の勘と、その直感をサポートする客観的なデータを集めるために、
遠谷眼科では角膜の形を3台の違う器械を使って調べています。
眼科の角膜の形を調べる器械の多くは、角膜の前面しか検査しないので、もし、その人の角膜が
今のところ前面が強いために、後面にあるでこぼこをうまくおさえこんでいる間は、検査データでも
異常であるというシグナルはでません。
通常の視力検査でも、角膜の前面にまで、でこぼこが及んできていなければ、乱視もそれほどでず、
問題のない眼だと判断されてしまいます。
しかしこの、なんとなくいやな形の角膜だなと思うものは、10人にひとりぐらいは必ずあるのです。
このような人には、エクタジアの発症を防ぐため、フラップを作らずに角膜の上部を少し削っただけで
レーザーをあてるPRK(LASEKもEpi-LASIKもPRKの変形だと考えてください)の方がよいですと
伝えることになるのですが、PRKは、レーシックに比べて視力の回復に時間がかかりますし、痛みや
不快感も続きますので、患者さんはできることならレーシックをしたいという人が多いのが現状です。
そうすると、エクタジアの発症確率は一般に数千分の1であるといわれていることに賭けて、
普通の人よりも自分の眼はリスクが高いのを承知の上でレーシックを受けるか、それともレーシックは
やめてPRKにするか、もうレーシックもPRKもしないことにするか、最終的には患者さん本人が
よく考えて決断しないといけません。

現在実施されているエクタジアおよび円錐角膜の治療法としては、コンタクトレンズをはめて
角膜の突出をおさえる方法、角膜内に半円型のリングを挿入して角膜の突出をおさえる方法、
ビタミンB2を含ませた眼に紫外線をあてることで角膜の強度を増し、角膜の突出をおさえるコラーゲン・
クロスリンキング(クロスリンキングともいいます)という方法などがあげられますが、それぞれの
治療効果には個人差があります。
最近では、円錐角膜やエクタジアの病気の進行を止めるには、コラーゲン・クロスリンキングという
方法しかないであろうともいわれています。
ただ、発症した年齢によっては、その人の角膜の固さが違いますので、角膜が前面に突出してくる
スピードは異なると考えられます。一般に若い人の場合は角膜が柔らかいので角膜が
突出してきやすいですが、40代以上になると角膜が固いので、突出の度合いもゆるやかであるかも
知れません。
エクタジアが起こった後、治療によって視力が非常に回復している人もあれば、それほど回復しない人も
います。年齢や、角膜の突出程度によって、治療の成功率が変わってくることがわかっています。

現在、エクタジアの治療で一番有力な治療方法であるコラーゲン・クロスリンキングは、1999年に
ヨーロッパで開始された治療法で、2009年の時点で、世界90か国以上で実施されています。
リボフラビンというビタミンB2と紫外線を使って角膜を固くすることで、角膜が突き出てくるのを
抑える治療ですが、紫外線は皮膚がんの原因にもなるといわれているように、強い毒性をもっています。
ですから紫外線を眼に直接あてるコラーゲン・クロスリンキングは本当に慎重に実施されないと
いけません。
ここ数年、さまざまな方法が考案されて、世界のあちこちで実施されているようですが、2011年の春の
アメリカの学会でも、秋のヨーロッパの学会でも、その方法をめぐって大きな意見の対立があり、
議論がなされています。
学会でのインストラクションコースを主催するような著名な医師が何度も、「効率を優先してはいけない」
「基本は忠実に守り、決して患者さんを研究のための実験道具にしてはいけない」といっていましたが、
医師が学会という公の場でこのようなことをいう時は、基本を守らないで失敗した治療例を実際に自分の
眼で見ていることが多いですし、そのような安易な治療を実施する医師に警告を発し、他の医師に対しては
そのような治療をしないよう呼びかけている場合が多いと思います。
あるプログラムでは、議論にのぼった新しいコラーゲン・クロスリンキングの方法が、エクタジアに
なった人に対して行うコラーゲン・クロスリンキングではなく、エクタジアになりそうな人に対して、
エクタジアの予防を目的として、レーシックをした後にすぐ行うコラーゲン・クロスリンキング
だったため、その画期的な試みに、学会場内は賛否両論、騒然としていました。
「今の時点では、まだやって数か月のことしかわからず、長期的な安全性がわからない、理論としては
面白く、研究材料としては興味はあるが、あなたが自分の患者さんにその方法でレーシックを実施するか
といわれれば、私はしない」という考えの医師が、檀上の医師の会話をきいていても、ほとんどだったと
思います。
新しい治療法については、従来の方法と比べてどのくらい何が違うのかということがわからないので、
今の時点では単純に良し悪しの評価はできません。もしかすると、数年後にはその新しい方法が、
本来ならばレーシックを受けてはいけないとされる眼に対しても意外と安全で効果があることがわかり、
スタンダードになっているかもしれません。あるいはその反対に、当初は見えてこなかったいろいろな
予期せぬ合併症が1年、2年たつとでてきて、やっぱりあの方法はしない方がいいとすたれているかも
しれません。

これまでは、円錐角膜やエクタジアになった人は、最終的には角膜移植をするしか治療方法が
ありませんでした。角膜移植は難しい手術ですから、そう簡単にどこでもできる手術ではありません。
それにまず、角膜のドナー(提供者)がいないといけません。世界中にはレーシックを受けなくても、
眼が突出してくる円錐角膜という病気に悩んでいる人がたくさんいます。
そのような中、コラーゲン・クロスリンキングをすることによって、円錐角膜やエクタジアの進行が
抑えられ、角膜移植が回避されうるという希望の光がもたらされたことは、眼科の医療として本当に
大きな意味があることです。レーシックの手術前にあらゆるリスク要因を検討しても、
万一エクタジアになってしまった場合は、早く経過観察を始めて治療の方針を医師と一緒に
考えていくことが大切です。確率は非常に少ないかもしれませんが、最終的には角膜移植という方法も
含めて、その時点で可能な医療技術をもって治療していくことになるからです。

レーシックも、今思えばおかしなことですが、当初は私たちの視力を6.0ぐらいにまでできる医療技術で
あるといわれていました。
しかし、いまだに私たちの眼は、せいぜい2.0ぐらいにまでしかなりません。医療技術には、何年か
実績が積まれてみないとわからないというところがあるのも明らかな事実ですから、もしレーシックを
してエクタジアになったり、レーシックを受けなくても円錐角膜という病気が進行してきたりして、
コラーゲン・クロスリンキングの治療を受けることになったら、この医療技術は世界的に
新しい技術であることを理解して、その医療の内容を医師とよく相談してください。
ただ、あまり考えすぎて、病気がその間に進みすぎると、今度は治療のチャンスを失ってしまい、
角膜移植のステージに進んでしまいますから、そういうことのないように、うまく治療に
踏み切ってほしいと思います。

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レーシックをすると白内障手術のときに不便なことが起こるの?

レーシックを受けた人の眼は、角膜の表面がすでに変形しているので、白内障手術をするときに眼の中に
入れる眼内レンズの度数を計算するプロセスで、結果に大きな誤差が生じてくることがわかっています。
それは、現在の眼内レンズの度数計算は、人工の手を加えない、自然なままの形の眼を想定して
行われているからです。
眼内レンズの度数がうまく計算できないと、間違った度数の眼内レンズを眼の中に入れることになり、
その度数の誤差の程度によっては、頭がくらくらするほど気分が悪くなったり、頭痛がするように
なったりする可能性があります。
このレーシック後の白内障手術における眼内レンズの度数決定の精度を上げるという問題は、世界の学会で
毎年話し合われていることなので、検査数値を入力すれば簡単にコンピューターが計算してくれるという
ような単純な話ではありません。
レーシックを受けた人が白内障手術を受けるときの注意点については、白内障のページで
説明していますので、詳しくはそちらをお読みください。

※屈折矯正手術を受けた人の白内障手術について詳しく知りたい人は、白内障のページ
屈折矯正手術radial keratotomy(RK)、photorefractive keratotomy (PRK),
laser-assisted in situ keratomileusis (LASIK、レーシック) を受けている人の
白内障手術 — 手術後の視力測に誤差が大きく生じる理由と、その防止対策 —

をお読みください。

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レーシックをすると眼圧にどのような影響があるの?(緑内障との関係)

レーシックをした後に、炎症を抑えるためにステロイド薬を長期間使ったときには、
眼圧が一時的に上昇することがあります。そして、それが原因で緑内障を発症することもあります。
※ステロイド薬を長期間使ったときは、白内障が引き起こされることもあります。

また、レーシックをした後は、角膜が薄くなるために、眼圧は人工的に低くでるといわれています。
本当は正常より高い眼圧になっていても、検査の数値では正常だと判断されてしまうかも知れません。
緑内障は40歳以上の20人に1人はかかっているといわれる病気で、日本人の中途失明原因のトップにある
病気です。
根本的に治す治療はなく、病気が進まないようにする治療しかありません。緑内障の病気が進まないように
するには、目薬などを使って眼圧を低めに抑えることが大切なのですが、レーシックを受けた人は眼圧が
実態よりも低めにでますから、もし、他の病気で眼科医の診察を受けるときは、必ずレーシックを
受けたということを、検査や診察をする前に伝えてください。

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