- レーシックの手術プロセスはどうなっているの?
①フラップを作る段階
②エキシマ・レーザーで視力を矯正する段階 - フラップの厚さと角膜を削る量にどのような関係があるの?
- PRK(photorefractive keratectomy)、LASEK (laser subepithelial keratomileusis)、Epi-LASIK(epithelial laser in situ keratomileusis)
- レーシックの手術前検査はどのぐらい手術結果に影響するの?
- 精密に検査をしたら、手術後は思ったとおりの視力になるの?
- どの手術器械の性能が一番優れているの?
- 手術器械が同じなら、レーシックの結果も同じなの?
- レーシックの再手術はどのぐらいの割合で実施されるの?
- レーシックの再手術はどのようにしてするの?
- セカンドオピニオンは本当に有効なの?
- レーシックに関するお問い合わせ・お申し込み
レーシックの手術プロセスはどうなっているの?
レーシックのプロセスは、大きくわけて2段階あります。それは、フラップを作る段階と、
レーザーで視力を矯正する段階です。

①フラップを作る段階
最初の段階は、料理でいえば野菜の皮をむいたり切ったりする段階で、角膜の表面に「フラップ」という、
およそ100μm(0.1mm)の薄いフタのようなものを作る段階です。
現在レーシックのフラップは、マイクロケラトームかフェムトセカンド・レーザーで作ります。
野菜の皮むきでいえば、包丁を使って皮をむくか、ピーラーで皮を向くか、どちらの道具を使うか
というようなことです。
レーシックのフラップを作るという点では、最新の器械の性能をもってすれば、マイクロケラトームでも、
フェムトセカンド・レーザーでも、どちらの方法でも同じようなフラップを作ることができます。

学術的には、マイクロケラトームでフラップを作るレーシックを「レーシック」、フェムトセカンド・
レーザーでフラップを作るレーシックを「フェムトセカンド・レーシック」と呼んでいますが、
どちらも大きな意味では「レーシック」です。
しかし、「●●レーシック」「▲▲レーシック」というような名称を器械のメーカーがつけて、
自社製品で行うレーシックをブランド化していることもありますし、さらにレーシックを行う施設が、
他施設と同じ手術器械で行うレーシックであっても、他施設との差別化を図る目的で自由に考案した名称を
使っている場合もあります。
時々、レーシックにさまざまな名称がつけられていることに混乱して、何がどう違うのかわからないと
質問されることがあるのですが、学術的な言語としては、「●●レーシック」も「▲▲レーシック」も
「★★レーシック」も「××レーシック」も、「レーシック」か「フェムトセカンド・レーシック」の
どちらかで、どちらも大きな意味ではレーシックです。
②エキシマ・レーザーで視力を矯正する段階
次は、料理でいえば野菜をいためたり、煮込んだり、味付けをする段階で、作ったフラップをめくり、
その下にある角膜にレーザーをあてて、実際に角膜を削って視力を矯正する段階です。
フラップを作る段階とレーザーを角膜にあてる段階のどちらがより重要かといいますと、それは
言うまでもなくレーザーをあてていく段階です。
なぜなら、手術後の視力には、フラップを作る段階よりも、レーザーをあてる段階の方が大きく
影響するからです。

フラップの厚さと角膜を削る量にどのような関係があるの?
レーシックのフラップをより薄く作ろうという考えが出てきたのは、おそらく2005年ごろからだと
思います。
それは、レーシックを受けた後、非常に発症確率は少ないものの、エクタジア(ケラトエクタジア、
角膜拡張症ともいいます)という角膜が突出してくることで乱視が大きく発生し、視力がものすごく
落ちてしまう原因不明の病気の存在がクローズアップされてきたからです。
アメリカではエクタジアになってしまった患者さんが、医師に対して裁判を起こすということまで
起こりました。
当時は万一エクタジアになってしまったら、とにかく眼の突出をおさえる治療をかたっぱしから
実施してみるということしかできませんでした。
エクタジアを発症した人の眼が、レーシックを受ける前にはどのような状態だったかということを
世界の医師が調査していると、一般の眼の病気として知られている「円錐角膜」という、角膜が
円錐のように突出してくる眼の病気に非常によく似ていることがわかりました。
そして、起こりやすい眼のタイプや、どのような状況の人に起こりやすいかということも、
だいぶんわかってきました。
現在、エクタジアや円錐角膜が起こる原因の一番大きなものとして挙げられているのは、角膜の
やわらかさ、弱さです。
もともと角膜がやわらかいために、あるいはレーシックなどをして弱くなってしまったために、
角膜全体を支えきることができなくなって、眼が後ろから前に突出してくると考えられています。
昔のマイクロケラトームでは160μmぐらいのフラップを作っていましたから、フラップを作るだけで
角膜を無駄にする部分が多く、角膜を温存してエクタジアを防ぐためには、より薄いフラップを
作らなければならないということで、フェムトセカンド・レーザーによる100~110μmぐらいの
フラップを作る技術が開発されてきました。
その後マイクロケラトームでも100μmのフラップを作ることができる器械が開発されてきましたので、
今では器械を選べばフェムトセカンド・レーザーでも、マイクロケラトームでも同じぐらいの薄さの
フラップはできるようになりました。
※エクタジアについて詳しいことを知りたい人は、後述の
●レーシックの合併症(副作用、トラブル)にはどんなものがあるの?
⑦ Ectasia(エクタジア、角膜拡張症) )
をお読みください。
フラップは薄ければ薄いほどいいのかと、どこまで薄いフラップを作ることが可能か試してみる動きも
ありました。
2008年ごろに80μmのフラップを実験的に作ったところまでいくと、フラップが裂けたり、穴が
あいたりすることが多くなり、80μmのフラップではレーシックがうまくできないということが
わかりました。薄すぎるフラップでもだめだということがわかって、2008年から2009年ぐらいの
ところで、これ以上薄いフラップを追求する動きはなくなりました。
毎年ASCRS(アメリカ白内障屈折矯正手術学会)にて掲示発表される、David Leaming医師による
アメリカの会員医師に対するアンケート結果の中で、「何の制限もなければ、どのぐらいの厚さで
フラップを作りたいですか?」という質問に対する、2011年の春に発表された答では、120~130μmの
フラップが一番好まれています。
その次が100μmです。最近では、これまで100μmのフラップでレーシックをしてきたけれど、
120μmぐらいがいいのではないかと思うようになったという医師もいました。
ですから現在では、医師の好みにより差はあるものの、100μmから130μmぐらいのフラップが
適切な厚さであろうと考える医師が多いと思います。

エクタジアが起こる原因のひとつとして、角膜が弱いということがあげられるならば、もともと角膜の
薄い人や、近視の度が強すぎて角膜を削る量が多くなってしまう人は、最終的に残る角膜の厚さが
薄くなる可能性が高く、角膜が弱くなるので、レーシックをするのは危険だということになります。
フラップを作るだけで100μm以上の厚さが必要だとすると、-7Dぐらいの近視の人の角膜を削る量と
同じだけの角膜の厚さがフラップだけに消費されてしまうことになります(レーザーの種類によって、
同じ程度の矯正量を実現するのでも角膜を削る量は違うのですが、だいたいの目安として一般に
15μmで1Dの矯正ができると考えます)。
そうすると、角膜の薄い人はフラップなんか作らないですぐにレーザーをあてる方が、より安全だろうと
いうことになります。
昔ならエクタジアのことがわからなかったので、-20Dの人にまでレーシックが実施されたことも
あったそうですが、2005年ごろからは、近視の度数の強い人や角膜の形がいびつな人などに対しては、
フラップを作らないPRKという方法を選ぼうという動きがでてきました。
ASCRS(アメリカ白内障屈折矯正手術学会)が毎年発表する、David Leaming医師によるアメリカの
会員医師に対するアンケート結果でも、アメリカで実施されたレーシックの件数が2006年以降
減少している点にその傾向が読み取れると思います。
注:下のグラフの数字には、2007年にはサブプライム問題、2008年にはリーマン・ショックと経済危機が
起こっているので、景気変動による件数減少という影響も含まれています。
データを読むときには、その数字の背景に何があるかを読み取らないといけないのですが、
これは情報量が限られている一般の人にはとても難しいことだと思います。インターネット上の情報には、
情報の使い方が客観的でないものもあるので、この数字がでてくる背景にはどんな事情があるのかな、
と場合によっては考えてみてください。

PRK(photorefractive keratectomy)、LASEK (laser subepithelial keratomileusis)、
Epi-LASIK(epithelial laser in situ keratomileusis)
レーシックで作るようなフラップは作らないで、レーシックよりも、より角膜の表面に近いところから
レーザーをあてて視力を矯正していく方法として、PRK(photorefractive keratectomy)が1985年に、
一足早く開発されていました。
しかし初期のPRKでは、レーザーを照射した後の角膜表面がスムーズにならないことで視力の予測が
難しく安定しないという問題があり、その問題を解決するためにレーシックという技術が開発された
という経緯があります。
その後、エキシマ・レーザーの性能も進化し、エクタジアの発症を防ぐ目的もあって、PRKはここ数年で
再び脚光を浴びてきました。
PRKでは角膜の表面にある角膜上皮をスパーテル、ブラシ、レーザーなどいろいろな方法で除去して、
レーザーを角膜にあてていきます。
LASEK (laser subepithelial keratomileusis、日本語ではラゼックといわれますが、レイゼックの方が
より近い発音)では、アルコールを使って角膜上皮を除去し、Epi-LASIK(epithelial laser in situ
keratomileusis)では、マイクロケラトームを使って角膜上皮を除去します。
最近ではPRK、LASEK、Epi-LASIKという言葉を使わずに、全部まとめてアドバンスト・サーフェス・
アブレーション(Advanced Surface Ablation、ASA)と呼ぶ医師もいます。
アドバンストは英語で「進んだ」、サーフェスは「表面」、アブレーションは「切除」という意味
ですから、角膜の表面を切除する(削る)手術というわけです。
アドバンストという言葉をつけずに、ただ、サーフェス・アブレーション(Surface Ablation)という
医師もいます。日本ではPRKや、LASEKや、Epi-LASIKという、それぞれの細かい違いを区別して
使われていた言葉がまだ多く残っているのですが、海外のトレンドとしては、LASEKもEpi-LASIKもPRKも
まとめてアドバンスト・サーフェス・アブレーション(=サーフェス・アブレーション)ということが
多くなってきています。
ですから、レーザーによる屈折矯正手術を考えるときには、フラップを作るレーシックか、フラップを
作らないサーフェス・アブレーションかの2通りから、どちらの方法がその患者さんの眼には適切か
ということを総合的に考えていく時代になってきています。
それでは具体的にどういう人がレーシックで、どういう人がサーフェス・アブレーション(PRK)を
選んだらよいのかというと、再手術をする可能性が高い人や、視力が早く回復しないと困る人のような
場合はレーシックの方が適切だと考えられていますし、もともとの角膜の厚さが500μm未満である場合や、
レーザーで角膜を削った後に残る角膜の厚さが280μm未満になるような角膜が薄い人の場合、
また、円錐角膜という角膜が突出する病気に進行するようないびつな乱視をもっている可能性が
ある人の場合は、サーフェス・アブレーション(PRK)をした方がよいと考えられています。
しかし、どちらの方法を選ぶかは、眼の状態に加えて、その人の年齢、性別、日常生活の状態によって
リスクの組み合わせが変わってくることがありますから、ケースバイケースであると思ってください。
レーシックの手術前検査はどのぐらい手術結果に影響するの?
手術前検査は非常に大切です。なぜならその結果が、手術のときにどのぐらい角膜を削るかを
決めるからです。
レーシックを希望する人の多くは、コンタクトレンズを使っている人が多いと思いますが、
コンタクトレンズは眼の形をゆがめているので、検査の前に一定期間、必ず外してください。
海外の学会では、ハードコンタクトレンズをはめていた眼では、コンタクトレンズを外して
3か月たっても、まだ角膜の形はわずかに変化していることがあるといわれていました。
「Refractive Surgery(リフラクティブ・サージャリー)2010-2011, American Academy of Ophthalmology (アメリカ眼科学会)」によれば、
ソフトコンタクトレンズなら最低3日から2週間、ハードコンタクトレンズなら2週間から3週間外す、
というのが目安です。
遠谷眼科では、ソフトコンタクトレンズなら1週間以上、ハードコンタクトレンズなら2週間以上
外してから検査を受けてもらっています。外す期間が長ければ長いほど、角膜の形が自然な形に
なってよいでしょう。
私たちの角膜は、一度削ると二度と元通りにはできません。眼の検査データがいい加減だと、
その合っているかどうかわからないデータに基づいてレーザーの照射プランをたてることになりますから、
どうしても良い結果がでない確率が高くなります。
私たちの視力は、そもそも日によっても、時間によっても違うことが多いので、日をおいて2、3回検査を
して、視力のばらつきを確認するべきだと思います。
最近来られた20代の女性の患者さんでは、1回目と2回目の視力検査の結果に1.5Dぐらいの差があり、
また角膜の厚さも変化するので、もう少し確実なデータがとれるまで手術を延期することにしました。
1回目のデータは夕方にとったデータでした。2回目のデータは午前中にとったデータでした。
それなら2回の検査の平均値をとればいいかというと、そういう問題ではありません。
視力がばらつくには、何らかの原因があると思われますから、その原因をまずつきとめないといけません。
ですから、いくら仕事で忙しいといっても、1回のデータだけでその後何十年もつきあっていかないと
いけない自分の眼にレーシックをするようなことは、とても危険なことですから絶対にやめてほしいと
思います。
暗いところでは瞳孔がどのぐらい大きくなるか測ることも大切です。
もし、瞳孔の大きさよりもレーザーをあてるエリア(照射径)が小さい場合は、夜間の光が
まぶしくぎらつく現象が起こりやすいといわれています。
通常の照射径では、角膜を削る量が多すぎるために、照射径を小さくするときは注意しないといけません。
一般的には、瞳孔の大きな人ほど、近視の程度や乱視の程度がきつい人ほど、レーシックをした後に
夜間の光がまぶしくぎらつきやすいと考えられています。
しかし、最近の研究では、瞳孔が大きくても光の見え方の変化をそれほど感じない人がいるという報告も
あり、そう単純に割り切れる話ではないのですが、とにかく夜間に瞳孔が大きくなることで眼の中に
入ってくる光のばらつき状態がこれまでとは変わるために、夜間の光の見え方が変化するのであろうと
考えられています。
もしレーシックを受ける前に、すでに夜間の光がぎらついたり、まぶしく感じたりしている人は、
レーシックをするとその傾向がもっと強くなるかも知れませんので、レーシックを受けることに
慎重になってください。
※夜間の光の見え方の変化について、より詳しく知りたい人は、前述の
● レーシックの合併症(副作用、トラブル)にはどんなものがあるの?
② 夜間の光の見え方の変化(グレア現象、ハロー現象)
をお読みください。
精密に検査をしたら、手術後は思ったとおりの視力になるの?
レーシックは、レーザーで私たちの角膜をμm(1,000分の1mm)単位で削る、非常に精密な手術で
ある一方で、体質の違う人間を相手にするので、同じようにレーザーを照射しても結果には個人差が
でるという、アバウトな手術でもあります。同じ内容の食事をしても、体質や年齢によって、
太りやすい人とそうでない人がでるのと同じようなことだと思ってください。
私たちの眼は年齢によって状態が変わりますから、屈折矯正手術をする医師や施設は、患者さんの
年齢別に、経験に基づいた独自のノモグラム(さじ加減)をもっています。
レーシックをした後の視力が予想通りに出ない、あるいは、人によって同じことをしても視力の出方が
違うということには、眼の状態には個人差があるということや、レーシックで削った後の角膜の
回復状況には個人差があるという、患者さんの体質によるところと、レーザーの性能には限界があること、
手術前の検査のデータが不正確であることなど医療技術の適用によるところが関係している
といわれています。
患者さんの体質による誤差を手術前に予知することは不可能ですが、それ以外のところからくる誤差は、
手術前の検査のデータの精度を上げれば回避できることもあります。
手術後の視力や見え方に生じる誤差をできるだけ少なくするために、手術前の眼を良い状態に保って、
精度の高い検査を受けてください。
どの手術器械の性能が一番優れているの?
ここ10年間の熾烈な技術開発競争により、手術器械の性能は相当高いレベルにまで到達しました。
2011年の秋に出た本(「LASIK The Evolution of Refractive Surgery(レーシック 屈折矯正手術の
発展)」、Slack社2012年発行)では、現在使われているエキシマ・レーザーとして、ボシュロム製、
AMO製、ツアィス製、ウェイブライト製、シュウィンド製、ニデック製のレーザーが紹介されています。
これらのメーカー以外にもレーザーを製造している会社はまだありますが、エキシマ・レーザーを
製造している会社の代表例としてはこの6社であるということでしょう。
みなさんが一番知りたいことは、その中で一番よいのはどのレーザーかということだと思います。
それは医師も同じです。この答えは、残念ながら、ありません。
それぞれの会社のレーザーは、それぞれ固有のレーザー照射のバリエーションをもっていますし、
たとえ「ウェイブフロント・ガイデッド」という同じ名前がついていたとしても、レーザー照射の
パターンはそれぞれ微妙に違います。
どの会社のレーザーをとっても、すべて、それ以前に開発された手術器械をより改善しようとして
新たに開発されてきているわけですから、総合的な精度は非常に高いです。
それはアメリカ国防総省の施設でも、同じ施設内で異なる会社のレーザーが複数台使われている
ということでもわかるでしょう。
もし、ある会社のレーザーが一番優れているということなら、アメリカ国防総省はその会社の
レーザーだけを使うでしょうから、そうでないということは、各社のレーザーの性能は今や
甲乙つけがたい状態であるということの証明であると思います。
そして、どのレーザーを使うかは、医師の好みの問題であると思います。
どこの国でも、インターネット上にある情報は、それぞれの手術器械がどれだけ優れているか
ということをアピールする傾向が強いようですが、現実に海外の学会ではどのようにいわれているか
ということをお話しましょう。
学会では、学会側が主催するプログラムと、応募すればよほど内容に問題がない限り、誰にでも発表の
機会が与えられるプログラムがあるのですが、2011年のESCRS(ヨーロッパ白内障屈折矯正手術学会)
では、学会主催プログラムの中で、D. Epstein医師が「どのレーザーを買うのがベストかと聞かれても、
その質問は答えられるものではない、ひとつのことをとって、このレーザーが他のレーザーよりも
優れているということは、他のレーザーにとってアンフェア(不公平)なことだ(9月17日、「Result of
Corneal Refractive Surgery」)」といわれていました。
この意見は、レーザーの性能が、これ以上はもう多くは望めないという高いところにまできた現在では、
本当にその通りだと思います。また、J.Krumeich医師は、フラップを作るときに使う手術器械である
フェムトセカンド・レーザーとマイクロケラトームの長所と短所を比較して、また、数人の世界的な
トップ医師が、フェムトセカンド・レーザーも保有しているにもかかわらず100μmの平坦なフラップを
作ることのできるマイクロケラトームの方を好んで使うのは、フラップの断面がフェムトセカンド・
レーザーと同様に平坦でスムーズであること、患者さんの側の痛みが少ないこと、翌日に視力が
より早く回復していることが理由だということを挙げて、結論として「(フラップを作るときに)
フェムトセカンド・レーザーとマイクロケラトームの性能のどちらが優れているかということにおいては、
臨床上の証明はなされていない(9月17日、「Overview of microkeratome」)といわれていました。
ただし、この話は、レーシックのフラップを作るときに限定した話です。
角膜移植をするような場合は、フェムトセカンド・レーザーの方が複雑な形に角膜を切ることができて、
移植した角膜と患者さんの角膜をぴったりと合わせることができるので優れています。
フェムトセカンド・レーザーも、マイクロケラトームも、それぞれに長所と短所があり、フラップを
作るときにどちらの器械を使うかは、本当に医師の好みによると思います。
フェムトセカンド・レーザーは、マイクロケラトームの後から開発された技術なので、どうしても
新しいというイメージの方が宣伝では強調されてきています。
しかし、フェムトセカンド・レーザーでフラップを作るときに生じる気泡が、アイトラッカーの性能を
落とすために、予定したレーザーの照射プランと実際のレーザー照射に誤差がでてしまう可能性を
いやがる医師もいます。
反対に、フェムトセカンド・レーザーは、マイクロケラトームよりも医師の手技にかかわらない部分が
多いため、トラブルが起こりにくい点を評価して好む医師もいます。
また、医療ではなくお金の話をすれば、フェムトセカンド・レーザーを使っているというと、新しい技術を
使っているというイメージをアピールできるので、患者さんの獲得につながり費用も高く設定できるので、
利益も上がると考える医師もいれば、フェムトセカンド・レーザーの高額な費用を、患者さんの
支払う費用に転嫁するほど、性能の違いは見出せない、と考える医師もいます。
本当に、考え方は医師それぞれです。
このような話は数年前から、何度も海外の学会でされていることですが、一般の人にまでは
なかなか伝わらない情報です。
ここでわかってほしいことは、レーシックを受けるにあたり、どの器械が一番優れているとは
単純にはいえないということです。
器械には長所もあれば短所も必ずあります。
医師は自分が行いたいと思う手術をするために、自分が好む器械を、理由があって選んでいるということ
なのです。
ですから、患者さんの側としては、フェムトセカンド・レーザーでフラップを作っても、
マイクロケラトームでフラップを作っても、どこの会社のエキシマ・レーザーで角膜を削ろうとも、
レーシックが医療技術としてきちんと実施されれば、本当にそれで良いわけです。
冒頭でも述べましたが、FDA(アメリカ食品医薬品局)が警告しているとおり、手術器械の過剰で誇大な
宣伝には注意してください。
手術器械が同じなら、レーシックの結果も同じなの?
器械が同じなら、結果も同じだろうから、費用が安いほうがいいのではないか、と思う人もいると
思います。
しかし、そう簡単な話でもないのです。一番問題なのは、エクタジアの発症リスク、視力の安定度
などからいって、レーシックをしてはいけない眼の人が、検査をすりぬけてしまうということです。
2011年のESCRS(ヨーロッパ白内障屈折矯正手術学会)でA. Kanellopoulos医師が、「ものを買うのと
同じような感覚で、かかる費用を比較したり、どの器械を使っているかと尋ねたりする人が多いけれども、
レーシックを受けるのはコンシューマー・プロダクトを買うのとは違うということ、これは
医療であるということ、レーザーが手術をするのではなくて、医師が(その人の眼や身体の状態などを
考慮して)手術をするのだということを伝えたい。
(9月18日、「LASIK:Basik Steps for Safety and Great Result (レーシック:安全と素晴らしい結果の
ための基本ステップ)」といわれたとき、会場にいた医師たちは、みな大きくうなずいていました。
ですから、レーシックを受けるときには、手術器械が同じなら、費用が同じなら、という単純な
損得勘定の考えからはスタートしないでほしいと思います。
レーシックの再手術はどのぐらいの割合で実施されるの?
再手術の実施率は、最初の手術で矯正をかけた量が多い人ほど、また、乱視が残っている人ほど高いと
いわれています。また40歳以上の人、近視矯正よりも遠視を矯正する人に多くみられるといわれています。再手術の割合には1%~11%と幅があり、この違いは、医師の経験、レーザーの種類、ノモグラム
(計算表、さじ加減のようなもの)、患者さんのライフスタイルや手術に対する要求度の違いなど、
さまざまな理由によると考えられています。
レーザーの種類によっても再手術率は違います。2010年にアメリカの学会で聞いた話では、
複数のレーザーを使ってレーシックを実施している施設では、ある会社のレーザーを使う割合を
増やしてから、1年以内に再手術をする率が4%から1%に減ったということでした。
ちなみに、遠谷眼科でのレーシック再手術は、現在の手術器械を使い始めてからは、5年間(2006年~
2011年)のおよそ3,200眼のレーシックで2眼実施しています。
この数字は非常に少ないと思う人もいるかもしれませんが、レーシックの再手術においては、
患者さんそれぞれの年齢やライフスタイルが関係しています。
たとえばレーシックを受ける前の小数視力が0.1以下だった人が、レーシックをした後に1.2ぐらいに
なって、それがまた0.7になったとしても、昔に比べたらまだ十分、わざわざ再手術をするほどではないと
考える人も多いと思います。
また、30代半ばでレーシックを受けた人は、手術後数年たって、またなんとなく近視に戻ってきたような
気がするけれど、最近は老眼も感じるようになってきたので、近視の方が近くを見やすくしてくれるので
ちょうどいい、という人もいます。
レーシックの再手術はどのようにしてするの?
再手術には、大きくわけて2つの種類があります。近視に戻った視力をまた矯正するなど、見える距離を
調整する手術(エンハンスメント)と、見え方の不調を改善するなど、角膜の形を修正する手術
(リオペレーション)です。
再手術は、通常はフラップ・リフティング(一度作ったフラップをめくること)をして行います。
フェムトセカンド・レーザーで作ったフラップは、接着が強いので、半年以上たってしまうとフラップを
めくることが非常に難しく、時間もかかります。
また比較的薄いフラップなので、フラップをリフティングするときに、フラップが破れないように
しないといけません。
レーシックではなく、サーフェス・アブレーション(=PRK)をする場合もあります。
残っている角膜の厚さが少ない人や、厚さがどれぐらいなのかがよくわからないような人、他の施設で
レーシックをしているので、最初のフラップの厚さがいくらだったのかわからない人のような場合です。
しかし、サーフェス・アブレーションは、ヘイズ(角膜が混濁すること)や乱視が起こりやすいという
リスクがあります。
再手術の際に採用するレーザーの照射パターンも、ひとつではないので、どの方法がよいのかを
よく考えないといけません。
再手術は最初の手術よりも、検査や手術の時間が何倍もかかりますし、その難度も高いです。
また、エクタジアやエピセリアル・イングロースなど、合併症が起こる確率も高くなります。
再手術をすることにより、角膜の形がまた変わりますから、今自分が見えている見え方とは違う見え方に
なる可能性も十分あります。
再手術によって、ある一面は改善されたけれども、別の一面が悪くなったということも起こり得ますから、
本当に再手術が必要かどうか、慎重に検討して行うべきです。
再手術の実例(トポガイデッド・レーシック): 偏心照射の修正例
※偏心照射(レーザー照射が中心からずれること)が起こると、光がのびて見える、像がだぶって
見えるなどの症状がでます。

レーシック・セカンドオピニオンは本当に有効なの?
遠谷眼科にも時々、何らかの理由で、レーシックを受けた施設の医師とは違う意見をききたいといって
来られる人がいます。
その人のいわれる状態が、偏心照射など明らかなレーザーの照射ずれが原因であろうと思われる場合も
ありますが、何が原因なのかがすぐにはわからない人の場合もあります。
レーシックをする前からあった眼の病気に、レーシックをした後で気がついた、というような場合も
あります。理由がどういうものであれ、見え方がおかしくなってしまったら、患者さんはわらにも
すがりたい思いにとらわれますが、こういう状態の時はとても注意しないといけません。
早まって再手術を受けてしまうと、糸がからまるように事態がもっと難しくなってしまうことが
ありますし、セカンド、サード、フォース、とオピニオンを求めてあちこちの医師を渡り歩くと、
それぞれの医師がそれぞれの専門の立場からさまざまなことをいうために、患者さんとしては何が
なんだかわからず混乱してしまうこともあります。
この点では、白内障など眼科の他の病気とは違い、レーシックの場合はセカンドオピニオンが患者さんに
とって有効な場合もあるし、あまり有効ではない場合もあるでしょう。
レーシックをした後に眼の調子が悪くなったり、身体の調子が悪くなったりすることは、ひとつのことが
原因で起こっている場合もありますし、いくつものことが重なって起こってきている可能性もあります。
ですから、ひとつの方法を実施すれば、いちどきに全部が簡単に解決することは難しい場合が多いと
思います。
ですから、何が原因なのか、辛抱づよく、ひとつずつ探りあてることが大切だと思います。
ドライアイや老眼が、眼の疲れや痛みに関係していることも結構多いと思います。
40代以降の人がレーシックを受けるときには、今まで自分が近視であったために水面下に隠れていた
老眼が、一気に顕在化してくるということを十分予定しておかないといけません。
もし、レーシックをした直後、頭痛や吐き気のために寝込んでしまうような状態になってしまったら、
それは脳の順応を待っても追いつかないような、身体に合わない視力の状態になってしまっている
可能性が高いです。
このような場合は、状況に応じてすぐに、あるいは視力が安定するのを待ってから、何らかの方法で
矯正しないといけません。
ひとりひとりの眼はもともと違い、今もそれぞれ違うので、こうすれば問題解決するという単純な
パターンや早道がないのです。
万一、レーシックをした後に見え方や体調が悪くなったら、どういうときに、こういうことが起こる、
という法則性のようなものがあればメモをしておくと、漠然と眼の調子が悪い、身体の調子が
悪いというのとは違い、より原因の解明に役にたつと思います。
また、朝早い時間に起きて、太陽の光を眼の中に入れることもよいでしょう。
これで体内時計がうまく回るようになります。
そして、オメガ3脂肪酸は、炎症をおさえるだけでなく、神経回路を柔軟にする働きがあるとも
いわれていますので、ぜひ食生活にとりいれて、ためしてください。
※斜視の人がレーシックを受けると、中には複視(ものが二重に見えること)が起こったり、
新たな斜視がでてきたりすることがある人がいるといわれています。
現在、自分が斜視であるということがわかっている人は、また、もしかすると斜視ではないかと
思っている人は、レーシックを受けるときに医師とよく相談してください。
レーシックに関するお問い合わせ、お申し込みは下記フリーダイヤルまで
午前 08:30~11:30
午後 03:30~06:00





