白内障のセカンドオピニオンについて

これまで来院された患者さんの実例では、「明日、白内障手術をしましょう」と突然言われて
不安に思って来られた人、また、これまで通っていた眼科では白内障手術が必要だと言われたけれども、
今の自分には白内障の自覚症状もないし、生活も不自由はしていない、本当に白内障手術が必要なのか
知りたい、といわれて来られた人などがいらっしゃいます。

「明日、白内障手術をしましょう」といわれて来られた患者さんは、診察をすると、数か月先の手術でも
全く大丈夫だった患者さんでした。
白内障の手術では、例外的に今すぐ手術をしないと手遅れになって失明するような場合は別ですが、
普通は「明日、白内障の手術をしましょう」といわれるようなことはありません。
なぜならば、眼を清潔にしていないまま手術をしてしまうと悪い菌に感染してしまい、眼内炎という失明に
つながってしまう可能性のあるこわい病気になることがあるので、手術前の眼は数日間かけてできる限り
清潔にしないといけないからです。
しかしこれだけ清潔にするよう努力しても、それでも患者さんの眼の中にばい菌が潜んでいることが
あって、日本では1,500件~2,000件に1件、眼内炎が起こっているといわれています。
ですから、どうしてその医師がその患者さんに「明日、白内障手術をしましょう」と言ったのか、
本当に不思議です。

また、自分は必要だと思わないのに、白内障手術をすすめられたという別の患者さんの場合も、白内障は
軽くて、今すぐに手術が必要というようなわけではなかったのでした。生活に不自由が生じるほど視力が
低下していれば、患者さんの側も自分には白内障手術が必要だと納得しやすいと思うのですが、
生活に不自由を感じていないなら、どうして手術をしないといけないのかと思うのは当然だと思います。
アメリカでは、ビンの底のようにぶあつい眼鏡をかけないといけないような、程度のきつい遠視の
人などは、たとえ白内障になっていない眼でも、眼内レンズを入れて視力を変えた方がよく見えるように
なるから便利だといって手術をする人も結構います。
でも、日本ではアメリカほど、度のきつい遠視の人はそれほど多くありませんし、また、病気がそれほど
進んでいないし、不自由も特に感じていないような、まだ十分大丈夫だと思えるような眼に手術をすると
いうことに抵抗を感じる人も多いのではないかと思います。

手術をする医師の側からいうと、白内障が軽い時期だと水晶体がやわらかくて手術がやりやすいので
(お餅が、やわらかい時は切りやすいけれど、固くなると切りにくいというのと同じようなことだと
思ってください)、手術が患者さんの眼に与えるダメージも少なくてすみますから、白内障が軽い時期に
手術をすすめるということにも一理あることはあるのです。
一般的には、白内障の進み具合と、手術が眼に与えるリスクがどのぐらいあるかということを考えて、
手術の時期を医師は提案すると思います。
もし、患者さんの側で、どうして今手術をしないといけないのだろうかと疑問に思うようなことが
あったら、迷わず医師に質問していただきたいと思います。

最近では白内障手術でも、いろいろな種類の眼内レンズをライフスタイルに応じて選ぶことができる
時代になってきましたし、白内障手術の後もいろいろな医療技術を使って、さらに視力を上げることが
できる場合もあります。
手術は多くの場合、一生に一度きりのものですから、患者さんの側も自分の眼の状態や受ける医療の内容を
よく理解して、納得した上で手術を受けることが大切だと思います。

(他施設で白内障手術を受けられた人へ)白内障手術後の視力を改善する方法

— 乱視矯正手術、眼内レンズ入れ替え手術、眼内レンズ縫い付け手術など —

「自分は白内障手術をしたのに、周りのお友達はみんな、手術後はよく見えるといっているのに、
自分だけよく見えない、白内障手術を受けた施設でいろいろ尋ねても、手術はうまくいっていると
いわれる、悲しい、どうしてですか?」と尋ねてこられる患者さんも、よくいらっしゃいます。
ある患者さんはそのために悩んで、体重がぐんと減ったそうでした。
また、ある患者さんは、「白内障手術をしたら、大好きな卓球がもっとよくできると楽しみに
していたのに、白内障手術をしてもよく見えない、卓球ができない、どうしたらいいのか」といって
来られました。
この患者さんたちに共通していたのは、白内障手術後に起こっている乱視です。
白内障手術のとき、レンズを眼の中に入れるときの切り込みが大きいと、乱視が大きく起こります。
ですから、白内障手術後に出た乱視を、ダイアモンドのメスで角膜の周りに小さな切れ込みをいれる
手術で軽くすれば、もっとよく見えるようになります。
ただ、この乱視矯正手術を実施している施設が少ないために、白内障手術後の乱視が矯正されないでいる
患者さんの場合は、裸眼視力が思ったほどよくならないという状況が起こるわけです。
趣味の卓球ができなくなってがっかりされていた患者さんも、乱視を矯正してまた元通り卓球が
できるようになり、とても喜んでいらっしゃいました。最近、乱視の矯正を受けられた患者さんの例では、
乱視を矯正する手術の前は0.2の視力が、手術翌日は1.0になっていました。
ほんのちょっとの手間をかけるだけで、視力はぐんと変わることがあります。
ですから、白内障手術の後に見え方がよくなくても、あきらめないでいただきたいのです。

乱視を矯正する例のほか、眼内レンズの度数が合っていない場合は、眼内レンズの入れ替え、
レーシックによる度数の矯正、眼の中に入れた眼内レンズの位置がずれていたり、眼内レンズが
外れてしまっていたりする場合は、眼内レンズの位置をもとに戻す手術や、眼内レンズを縫い付ける手術を
することもあります。
ただ、眼内レンズの入れ替え手術は、白内障手術の後、比較的すぐの時期(手術後半年以内)でないと、
眼内レンズが眼の中の組織にくっついてしまうので難しいです。
そもそも眼内レンズの入れ替えは技術的に難しいので、実施しない施設もあります。
そのような場合、患者さんはずっと合わないレンズを眼の中に入れたまま、一生我慢しつづけないと
いけません。
ですから白内障手術の後、眼の中に入れたレンズがどうも合っていないと思うようなことがあったら、
手術後数か月のうちに早く、眼内レンズを入れ替える手術を受けてください。
もし手術後半年以上たっていたら、眼内レンズは入れ替えずに、他の方法で視力を矯正する方が安全です。

ひとつだけ注意しておいていただきたい点があります。
それは、白内障は水晶体の病気なので、もし水晶体以外の眼の奥の場所に何か病気があったなら、
それは白内障手術をしても視力がよくならないことがあるということです。
患者さんの眼の病気によっては、その病気が治らない限りは白内障手術をしても視力がよくならないことも
あります。

白内障手術の後なのに、なぜか視力がよくならないと悩んでいらっしゃる場合は、眼の奥の病気のためか、
手術後の乱視のためか、眼内レンズの度数が合っていないために起こることが多いので、その原因を
確かめるためにも、手術後あまり時間が経過していない間に、検査と診察にお越しいただきたいと
思います。

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