遠谷 茂(えんたに しげる)

- ■1978年3月
- 京都大学医学部卒業 京大病院、神戸中央市民病院、兵庫県立塚口病院勤務
- ■1986年5月
- 「遠谷眼科」武庫之荘にて開業
- ■1998年4月
- 塚口にて新築開院
- ■2002年5月
- 医療法人社団秀明会に改組
- 眼科専門医
- 京都大学医学博士号取得学位論文 「DISTRIBUTION OF SULFHYDRYL AND DISULFIDE GROUPS IN OCULAR TISSUES」
- 日本眼科学会
- 眼科手術学会
- 日本白内障学会
- 日本緑内障学会
- 日本糖尿病学会
- 日本眼内レンズ屈折手術学会
- 日本糖尿病眼学会
- アメリカ白内障屈折手術学会

私は鳥取県の大山の麓で生まれ育ちました。京都大学医学部を卒業後、すぐに眼科学教室に
入局しました。
眼科を選ぶきっかけとなったのは、学生実習で眼科手術を見たことからです。
当時の眼科手術は肉眼での手術が主流でしたが、京大ではいち早く顕微鏡手術を開始していました。
「肉眼では見えない目の微細な部分も、顕微鏡を使えば手術できるのだ」と、大型テレビに
映し出された鮮明な画像を見て感動しました。
昭和56年からの4年間、京大眼科第2研究室に所属し緑内障、網膜色素上皮、最後は白内障の研究を
しました。
昼間は診察と手術、夕方からは研究室という生活でした。特に白内障の成因に興味を持ち、
正常マウスでの実験結果が私の学位論文となりました。
次の白内障マウスの実験結果が出かかったところで医局人事があり、市中病院に出なくては
ならなくなりました。市中病院では研究がなくなった分、臨床の仕事に益々うちこみました。
しかし勤務していると、病院予算枠や行政上の縛りがあって、その時点での最良の医療に
すぐに取り組むことが出来ないことがわかり、自由に最良の医療を行なうことのできる眼科を
目指して開業することにしました。
白内障の超音波、眼内レンズ手術も自分が開業した時、地域で最初に導入しました。
研究室でやり残した研究には後ろ髪を引かれる思いでしたが、これからは患者さんのための
臨床医一筋で生きていこうと決意しました。
その頃、眼科手術は一晩以上の絶対安静が手術後必要というのが常識でした。
開業して、とても入院ベッドを持つ余裕はなく、かといって臨床医としての理想を追求するには
手術は続けなくてはならない。悩んだ末に、勤務病院での最後の頃、患者さんのご協力を得て
日帰り白内障手術を試みました。
第1号になって下さった患者さんは中原ミヨ子さんです。手術後の安静をなしにして、
術後1時間で眼帯を取ったところ、中原さんは「先生の顔がはっきり見えます。」と
大声をあげて私の手をつかまれました。中原さんの感動が私にも伝わってカミナリに打たれたように
茫然と立ちすくみました。神様でもない自分が神様のように感謝して頂き、厳粛な気持ちになりました。
すぐに顕微鏡を使って中原さんの眼を調べてみると、白目が少し赤くなっているもののほとんど
普通の人と区別できないくらい綺麗でした。
イエスキリストはゴルゴダの丘に登る途中で奇跡を起こし、盲しいた人の目を治したという伝説が
ありますが、私のような煩悩多い人間でも最新の医療器械を使って奇跡が起こせたのだ・・・
嬉しさと同時にどうしてこの様な不思議な体験が出来たのか、心の奥に何か割り切れないものが
ずっと残っていましたが、ある日、本を読んでいたら古代ギリシャのイコン(宗教画)には、「神の手」と片隅に記入してあるという文章がありました。
画家が描いたのではない、神の意思が画家の手を使って描いた物であるということです。
なるほど、神様が私の手を使って患者さんの目を治されておられるのだ・・・そう思った途端、
スッキリして、今はより良き「神の手」になろうといつも思って手術をしています。
眼科手術は大病院で行なうのと個人医院で行なうのとでは責任の重さにおいて
大きな違いがあると思います。
私は勤務医の時も細心の注意をはらって手術をしましたが、開業してからはそれと比較できないくらい
慎重に手術をしてきました。もちろん日帰り手術も近視手術(レーシック)も、
世界各国の眼科を訪ねて自分の目で安全を確かめてから当院で開始しました。
診察時間や手術の時は、患者さんと直接充分にお話して信頼関係を築くことが大切ですが、
現実には時間に追われるように仕事しております。
信頼関係の一助となるよう拙文を書かせて頂きました。
眼科医となってこのかた、常に臨床の第一線で仕事をしてきましたが、これからも今までの経験が
御来院の患者さんのために少しでも生かせるよう切磋琢磨を続けたいと思っております。
最後までお読みくださり誠にありがとうございました。
※私は絵を描く事と写真を撮るのが趣味です。つたない作品ですが掲載させて頂きます。



